第48話京都からの知らせ

 2035年8月19日。

 小香シャオシャンが岩手で休暇を取ってから1週間が経とうとしていた。

 岩手に来てからの小香シャオシャンは、ヨハンセンの畑仕事の手伝いの他に、ヨハンセンの愛犬のビョルンの散歩や道の駅へ売る野菜を運ぶ手伝いなどをして過ごしていた。


 朝、小香シャオシャンがビョルンの散歩から帰って来るとヨハンセンが息を切らして走って来た。

「どうしましたか?ヨハンセンさん」

「京都がら連絡あって大学の研究チームの先生が亡ぐなったって!」

 ヨハンセンからそう聞いてすぐに小香シャオシャンは大学の研究チームに電話した。

 電話に出た中島という同じメンバーの話によると小巻は大学に向かう途中3体の鬼に殺されたそうだ。3体のうち1体が

「你不能雇用科卡(小香シャオシャンなんか雇うからいけないんだ)」

 と中国語で嫌味を言って殺した。

 それを聞いた小香シャオシャンは怒りに打ち震え、その様子をヨハンセンが

小香シャオシャンさん、落ぢ着いでくなんしぇ。兎さ角、帰ったほうがいいど思いますよ」

 そう言われ、小香シャオシャンは少し落ち着いてから岩手を出発し、夕方に京都に到着した。


 翌日の2035年8月20日。

 小巻の葬儀に参列し、その日の夜、今後どうするか話し合った。殆どは残る事を決めた。


 葬儀から2日後、小香シャオシャンに久保村虎太郎から電話がかかってきた。

小香シャオシャン、久しぶり!元気?」

「うん」

 その後も他愛のない会話をしていたが、

「実は希子が最近1人暮らししたから我が家が寂しくなっちゃってさ、ふと小香シャオシャンが写ってる写真を見たら妻とまた小香シャオシャンに会いたいなとかあの頃が楽しかったとか話してたんだよ。小香シャオシャン、無理を承知で言うんだけど、またうちで暮らさないか?」

 虎太郎からそう提案された。

 

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