牛魔王の孫

目黒恵

第1話小香

 小香シャオシャン

 どこにでもいる9歳の少女。だが、彼女は妖怪と人間の血を引いている。

 祖父母は西遊記の悪役で有名な牛魔王と羅刹女。父は聖嬰大王(紅孩児)。母は人間。

 小香シャオシャンは祖父と父のように妖術を使う事ができ、赤ん坊の頃、妖術を使って周囲を驚かせていた。

 学校での小香シャオシャンは祖父母と父が妖怪で妖術を使う異常な者だからという理由で虐めにあっていた。虐めは日常茶飯事だった。


 2023年5月10日。

「見て!あの猫ちゃん大きくなったよ!」

 小香シャオシャンをよく虐める希腊シーラがクラスメイトや他の学年に声をかけた。小香シャオシャンもそれを聞いて外に行った。外では、1年前から棲みついてる野良猫が半年前に子猫を4匹生み、その子猫が成長した姿を休み時間に一部の生徒達は見に行った。

 だが、小香シャオシャンはいつまで経っても見れず休み時間は終わり小香シャオシャンは意気消沈した。

 小香シャオシャンは授業中ずっと机にうつ伏せになり泣いていた。心配した女教師は、希腊シーラ衛城ウェイチャン愛琴アイチン小香シャオシャンが猫を見られなかった事を説明した。

 帰りに小香シャオシャンは女教師から元気を出してと言われたが、小香シャオシャンの元気は戻らなかった。

 終いには、希腊シーラ衛城ウェイチャン愛琴アイチンは罵詈雑言を浴びせていた。

小香シャオシャンのせいで授業集中出来なかった」

 と希腊シーラ

小香シャオシャンは化け物だから出来ないんだよ」

 と衛城ウェイチャン

小香シャオシャンは普通じゃない〜」

 と愛琴アイチン

 小香シャオシャンはその場で泣いてしまった。3人はそれを面白がっていた。

 耐えられなくなった小香シャオシャンは逃げた。

 次の日も希腊シーラ達は昨日の猫の事で小香シャオシャンに嫌味を言っていた。ついに堪忍袋の尾が切れた小香シャオシャンは口から何かを出した。それを見た希腊シーラ達は怯え始めた。

「な、何よ!」

 と希腊シーラはわなわなと身を震わせた。

 小香シャオシャンは指を振ると、何かは大きくなった。それは祖母の羅刹女から誕生日プレゼントで貰った芭蕉扇だった。小香シャオシャンは芭蕉扇を仰ぐとも希腊シーラ達は数100メートルまで吹っ飛んだ。

 その後、芭蕉扇を使って希腊シーラ達を怪我させた事に激怒した教師は怒り、父の聖嬰大王と母のメイは呼ばれた。両親は教師に必死で謝ってばっかりだった。


 帰宅後、小香シャオシャンは聖嬰大王とメイに厳しく叱られた。

「父上!母上!希腊シーラ達はいつも私の事虐めるんだよ!猫の事だけじゃない!前にも先生に叱られてたらニタニタ顔で笑うし、私の目の前で先生に私の愚痴言うんだよ!だから」

 小香シャオシャンは涙ながらに訴えた。

小香シャオシャン!いい加減にしろ!」

 聖嬰大王はそういうと小香シャオシャンの頬を力いっぱい叩いた。

 小香シャオシャンは倒れたが、すぐに立ち上がり赤ん坊のように大声で泣き叫んだ。

小香シャオシャン、今度、希腊シーラちゃん達に謝ろう。きっと許してくれるよ」

 メイは優しく言ったが、

「あの子達に頭下げたくない!」

 と小香シャオシャンは捨て台詞を言うと、ドアが開き、祖父母の牛魔王と羅刹女が入ってきた。

小香シャオシャン〜」

「来たよ」

 牛魔王と羅刹女は優しく言うが、小香シャオシャンは泣いてて返事出来なかった。

 両親は、訳を話すと

「孫がまさか…。小さい頃から得意だった妖術がこういう結果を招くとは…」

 牛魔王は唖然とした。

「あの子はずっと我慢してたんだね…」

 羅刹女は心を痛めた。


 両親と祖父母がそんな話をしてるとは思わず、小香シャオシャンは自分の部屋で動画を見ていた。動画では、日本で有名な妖怪の政治家の金長牡丹が発言していた。日本では妖怪と人間が分け隔てなく暮らしている。小香シャオシャンは、1年前に他の牡丹の動画で知り、日本で暮らす事を夢見ていた。そのために小香シャオシャンは今まで日本語の本だけでなく、日本の映画、ドラマ、アニメを見て日本語を勉強していた。

 そんな小香シャオシャンは日本へ逃亡する計画を経てた。今まで貯めてたお金を日本への渡航費に使う事にし、両親と祖父母に手紙を書いた。

 

次の日の早朝、小香シャオシャンは両親と祖父母が寝てる中、バレないように飛行場へ向かった。ヒッチハイクやタクシーで飛行場へ行き、飛行場でチケットを出し、日本行きの飛行機に乗った。



 その頃、両親と祖父母はショックを受けた。僅か9歳の少女がたった1人で日本へ行ってしまったからだ。

 だが、聖嬰大王は小香シャオシャンが、日本に行きたがっていた話を思い出した。

「でも、探さないでって書いてあるわよ!」

 とメイ

「けど、探すんだ」

 聖嬰大王は強く言った。

 だが、牛魔王と羅刹女は

「日本でどうしてるかわかってからにしないか?」

「そうよ!」

「きっと可愛い孫の事だ!」

「信じましょう」

 聖嬰大王は考えた。暫く考えてから

「そうかもしれない。日本で連絡きたら動こう」

 と素直に言った。

「もしかしたら親切な人に保護されてるかもしれないけわ」

 メイは涙を堪えた。


 両親と祖父母の心配を他所に、その頃、小香シャオシャンは成田空港に到着し、東京へ向かっていた。

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