第42話熊童子①

2035年6月12日。

 熊童子は、小香シャオシャンを殺害しようと京都に行く前に自分より位の下の鬼達が最近人間や妖怪を殺しに行かなくなったと酒呑童子から聞いた。その話は、噂程度だと思っていた。

 ところが、酒呑童子から聞いた話は事実だった事がわかった。

 京都に着くと熊童子に気づいた鬼は童子切安綱を所持している妖怪と人間の混血の女が怖くて殺しができないと話した。

「なんと嘆かわしい!混血の女!この熊童子が必ず殺してやる!同志の仇だ!」

 熊童子は、怒りに震えていた。

 鬼に別れを告げると熊童子は血眼で、小香シャオシャンを探した。

 小香シャオシャンを探す事に集中して熊童子は、人間や妖怪を殺すのを忘れていた。


 小香シャオシャンは、よく相談を聞いてる妖怪から鬼達が最近自分達を殺さなくなったと話していた。殆どの妖怪達は、小香シャオシャンが金熊童子や星熊童子、虎熊童子を退治した事が鬼達に知れ渡り童子切安綱を持った者が出てきた事に怯えて殺しを安易にできなくなったのではないかと推測していた。

 だが、安心してはいられないと小香シャオシャンは心の何処かで思っていた。


「まだ酒呑童子が生きている…。それに右腕と他の鬼だっているんだから…」


 小香シャオシャンは難しい顔をしていたが、童子切安綱が擦り寄ってきたのを見て撫でながら

「ごめんね。お前に心配かけてしまったね」

 と優しい声で話した。

「我不能放松警惕…(油断できない…)」

 小香シャオシャンは呟いた。

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