第41話虎熊童子⑤

 騒ぎを聞いた小香シャオシャンと悟雲は、五条大橋に到着したが、牛若丸弁慶像は無惨な姿になっていた。

 すると虎熊童子が現れ、小香シャオシャンを襲おうとしたが、悟雲が如意棒で防いだ。

「唐から来た混血の女…」

 虎熊童子は充血した目で小香シャオシャンを睨みつけていた。

 小香シャオシャンは童子切安綱を抜いて構え、一方の虎熊童子は悟雲を押し除けて小香シャオシャンに向かって爪で斬り殺そうとした。

「させるか!」

 悟雲が援護し、小香シャオシャンは刀で虎熊童子の顔を傷つけた。

「やった!」

 小香シャオシャンは喜んだ。

 虎熊童子は最初蹲っていたが、近くに小香シャオシャンがいる事に気づくと小香シャオシャンの両足をハンマー投げのように振り回し、遠くに向けて投げようとした。小香シャオシャンは気持ち悪くなっていたが、虎熊童子が自分が投げようとしたその時、心臓目掛けて童子切安綱を斬った。

 すると血飛沫が飛び散り、虎熊童子は小香シャオシャンから手を離し、絶命した。

「死んだか…」

「そのようです」

 小香シャオシャンと悟雲は呆気に取られた。

 虎熊童子は体が塵のようになり、そのまま飛んで行った。


 虎熊童子が退治された事を知った酒呑童子はますます小香シャオシャンを憎み、自分が殺しに行くと暴れたが、右腕の茨木童子に阻止された。

「後は熊童子しかいません。奴に任せましょう」

 茨木童子は必死で宥めた。

「仕方ない。熊童子!行け!行ってあの混血を殺せ!」

 酒呑童子は酒を呑みながらそう喚き、呼ばれて来た熊童子は少し怯えた様子だったが、すぐに行った。


 根城を後にした熊童子は

「他の奴らが殺されたんだ。あの混血の女は只者じゃないぞ…」

 そうぶつぶつ独り言を言っていた。

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