第44話熊童子③

 2035年6月17日。

 小香シャオシャンは恋人の北大路蓮と京都駅近くに来た。

 しかし、何かの気配を感じた小香シャオシャンは、振り向くと酒呑童子の手下の1人熊童子がこっちに向かって走って来た。

「蓮さん、逃げて!」

 小香シャオシャンはそう言ったが、北大路は動かなかった。

「それは出来ない!小香シャオシャン、一緒に逃げよう!」

「嫌です!アイツを倒さないと…」

「そんな事言ってないで逃げよう!近くを見ろ!倒れている人や逃げてる人が殆どだ!」

「だけど!」

小香シャオシャン!」

 北大路が説得しても小香シャオシャンは逃げなかった。

 熊童子が小香シャオシャン達の近くに辿り着くと

「死ね!混血!」

 熊童子が鋭い爪で小香シャオシャンを殺そうとした。だが、北大路が小香シャオシャンを庇って右腕を切られた。北大路の右腕から多量出血していたが、右腕自体は切断されていなかった。

「蓮さん!」

 小香シャオシャンが駆け寄った。

「蓮さん、しっかり!」

 小香シャオシャンは力一杯自分のスカートの裾を千切り、北大路の腕に包帯のように巻いた。

 熊童子からしたら面白おかしくて笑っていた。小香シャオシャンは熊童子を睨みつけ童子切安綱を抜いて首を切ろうとしたが、熊童子は大笑いしながら攻撃を避けた。

「混血!こんな人間を傷つけられただけで怒るなんてちゃんちゃら可笑しい!」

 熊童子は挑発した。

 小香シャオシャンは冷静になれず、熊童子を切ろうと必死した。

 熊童子は近くのビルに登ると、小香シャオシャンは忍者のように建物から建物へ移るように走り、熊童子を追いかけた。

 ようやく熊童子に追いつくと小香シャオシャン

「くたばれー!」

 童子切安綱を振りかざして熊童子の首を切った。切られた熊童子は燃えカスのように消えた。


 北大路はその後、病院へ治療を受けた。全治2ヶ月だった。小香シャオシャンは自分を責めたが、北大路は小香シャオシャンをフォローしようとしたが、気持ちが治らなかった。


 熊童子も殺された酒呑童子は、ある手下を呼んだ。

希腊シーラ衛城ウェイチャン愛琴アイチン!もうお前達と茨木童子しか頼れる部下はいない!だから殺してくれ!雷小香レイシャオシャンを!」

「おまかせください!」

 3人は自信満々に返事した。

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