第13話思い、過去

 2023年7月5日。

 悟雲は、小香シャオシャンが仕事終わりになったのを見計らい、声をかけた。

「この間の事で話したいから来てほしい」

 小香シャオシャンは悟雲達について行き、渋谷にあるファミリーレストランに行った。

 悟雲達は、小香シャオシャンを様子を見て

「この間はすまなかった。お前の家族がどうしても様子を見に行ってほしいって言うからさ」

 だが、小香シャオシャンはあまり信用していない様子だった。

「怖がらなくていいのよ!小香シャオシャンちゃんに何もしないから!」

 玉蘭が説得した。

「今更だが、俺は孫悟雲。で、隣にいるのが、猪八刑、沙麗浄、玉蘭だ」

 悟雲は小香シャオシャンを怖がらせないように話した。

 小香シャオシャンは思い出したように、鞄から西遊記の本を出した。本を見せながら

「この間、孫悟空って聞いて今読んでる本の事を思い出しました。本当にあなた達は彼らの子供ですか?」

 悟雲達は頷き、それぞれ親が持っていた武器を見せたりした。また、悟雲はファミリーレストランから出て筋斗雲を呼び、乗ってみせた。小香シャオシャンは目を丸くした。

 悟雲がファミリーレストランに戻り、

「わかっただろ?」

 と尋ねた。

 小香シャオシャンは頷いた。ただ、小香シャオシャンは悟雲達が自分の事を牛魔王に話し、中国から牛魔王が来て自分はそのまま中国に帰るのではないかと不安に思っていた。日本に逃げた時から小香シャオシャンは日本で生きる事を決め、悦子から紹介された何でも屋の仕事は慣れてきたところだった。

「私…日本にいたいです。金長牡丹みたいに妖怪でも前を向いて生きていきたいです…」

 小香シャオシャンの一言に

「でも、家族が帰ろうって言ったら?」

 八刑が尋ねると小香シャオシャンは目を吊り上げて

「断ります」

 空気は重くなった。悟雲達は小香シャオシャンが日本へ逃げて来た経緯を父親達から聞いていた。また、小香シャオシャンを虐めていた希腊シーラ衛城ウェイチャン愛琴アイチンのその後の様子も聞いていた。

「聞ぃた話だと虐めた同級生は、反省しとれへんそうや」

 麗浄が淡々と話すと

「やっぱり。ここにいてよかった。あんな人達といたら死んじゃいます」

 小香シャオシャン希腊シーラ達を思い出してしまい、胸糞悪くなった。


 中国の学校にいた時、授業で尊敬する人物を発表をする事になり、小香シャオシャンは金長牡丹を尊敬する人物として発表したが、希腊シーラ達が牡丹を

「狸、尊敬してるの!?変なの〜」

 などと馬鹿にして小香シャオシャンはその場で大泣きし、教師は

小香シャオシャン、人物だよ?狸を紹介してって言ってないよ?明日までにやり直してきなさい」

 という一言で小香シャオシャンを傷つけた。結局、小香シャオシャンはジャッキー・チェンに変更して翌日発表し、教師は満足していた。


 希腊シーラ達には虐められるし、教師が否定する言い方をして小香シャオシャンは学校が大嫌いだった。日本にいて正解だと小香シャオシャンは思った。

「気持ちはわかった。それと、元気でいて安心した」

 悟雲は小香シャオシャンの気持ちを受け止めた。

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