第8話小香vs甲斐憲子

「あなたね!私の髪をこんなふうにしといて訳わからない事言ってんじゃないわよ!生意気な子ね!素直な子に私がしてやる!」

 甲斐憲子は再び小香シャオシャンを平手打ちや爪で小香シャオシャンの顔や手を引っ掻いたりしたが、すぐ校長と鬼塚に止められた。

小香シャオシャンちゃん!」

 照子は小香シャオシャンのところに駆け寄り、すぐに水戸雪乃と山寺孝子が怪我の具合を見て手当てをした。小香シャオシャンは頬と手から少し出血が見られた。

「さあ、照ちゃん!保健室はもう行かないで!あなたは高校生よ!自分1人で乗り越えなさい!それと、庇ってる化け物とは関わらないで!」

 甲斐憲子が照子の腕を掴もうとすると鬼塚と小香シャオシャンが甲斐憲子を照子から離した。

「化け物…聞き捨てならないですね。悪かったですね。化け物で…甲斐憲子さん、あなた今差別発言しましたね?」

 鬼塚が静かに怒った。『化け物』は昨今差別用語としてTVなどでも使われるのを禁止された。牛鬼の鬼塚と祖父母と父を妖怪に持つ小香シャオシャンにとっては不快だった。

 校長は

「伯母様、今の発言はよろしくないですし、子供に対してこんな怪我を負わせていいのですか?」

 だが、甲斐憲子は納得出来なかった。

「私は姪のために言ってるの!口出ししないで!」

 甲斐憲子は鬼塚と小香シャオシャン

「あなた達は何でも屋でしょ!何でも屋って人を傷つけるためにやってるの?違うでしょ?何でも屋は誰かを助けたり役に立ったりするためでしょ?こんなの何でも屋じゃない!警察に通報しなきゃ!」

 甲斐憲子はスマホを取り出したが、小香シャオシャンの三昧の真火により燃やされた。

 立ち上がった小香シャオシャンは甲斐憲子を睨み

「おい!差別発言ババァ!お前のやってる事は毒親同然だよ!」

 それを聞いた甲斐憲子は

「は?」

 そう言ってイライラし出した。

「さっきから照子さんを無理矢理保健室から引き離そうとするし、私や鬼塚さんみたいな妖怪を蔑む言い方で不快なんだよ!照子さんはお前の言動のせいで自殺したくなった時あったんだよ!もう照子さんを奴隷のようにするな!」

 小香シャオシャンは甲斐憲子に迫って来て甲斐憲子は後退りした。

「照子さん、保健室のおかげで自分が苦しんでいるのを誰かに言えるようになったし、心の拠り所ができたからこの学校入学する前より気持ちが軽くなったって話してたわ。聞いたと思うけど。お前をそれをわかってあげずにいた。馬鹿じゃないの!わからないんだからもう照子さんに異常に執着するのやめな!」

 周りは小香シャオシャンにずっとハラハラしていた。

「照子さんと私やここにいる全員の前に二度と現れるな!馬鹿!」

 甲斐憲子はその場に座り込んで泣いた。すると小香シャオシャンを押し除け、逃げて行き、周りは唖然とした。


 小香シャオシャンが帰宅すると久保村家全員は心配し、ゆっくり休むよう助言した。


 1週間後の2023年5月26日。

 照子の両親が何でも屋を尋ね謝罪をした。照子の両親曰く、あれから水戸雪乃と山寺孝子だけでなく、担任や他の教師や同級生、先輩、後輩が照子の事を気にかけたりするようになった。問題を起こした甲斐憲子は学校を出入り禁止になり、それをきっかけに母親の実家がある山形県で祖母と伯父夫婦と生活しているそうだが、騒動を聞いた祖母と伯父夫婦は激怒したようだ。


 4日後の2023年5月30日。

 小香シャオシャンは照子から話があると言われ約束され、調布市のカフェに行った。カフェに着くと照子は先に席に座っていた。

 照子は伯母の事で謝罪をし、

「ねぇ、小香シャオシャンちゃん。色々ありがとう」

 お礼を言われた小香シャオシャンは少し照れて謙遜した。

「私、今回でね、憲子ちゃんを反面教師にして生きていこうと思うんだ」

 そう決意した照子の顔は逞しかった。

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