第56話 僕と3人とバスジャック事件
「もう!遅くまでゲームしてるから寝坊するのよ?シャキッとしなさい!」
「ふわぁーいあくねぇ〜。」
「早く起きる!!」
おはようございます。アク姉に布団から叩き出された実です。
いやぁ〜。昨日ヴァカスさんにマナリアの提供を約束したのは良いんだけどね?
口約束じゃなくてちゃんと書面で契約しないといけない訳で、契約には農業ギルドの手助けが必要なんだよね。
だからヤマブキさんに事の経緯を説明しに行ったらさ。
「何を勝手に取引先を増やしてるのかしら?」
と青筋を立てた鬼が農業ギルドに現れちゃってさぁ、日が暮れるまでお説教される事になりました。
実はヤマブキさん。グランドリーフの時の反省を踏まえて、マナリアは出来るだけ欲しい人達に均等に分配されるように考えてる最中だったみたいなんだ。
そんな時にヴァカス酒店が横入りしてきたもんだから、そりゃもうすっごく怒っちゃったんだよね。
2人で謝り倒してなんとかマナリアの納品は認めて貰ったけど、今度からそういう商談はヤマブキさんを交えて行うことって約束させられちゃったよ。
でね?マナリアの取扱について追加で相談されることになって、寝るのが遅くなっちゃったんだよねぇ。
「ぼーっとしてないで早くご飯食べないと遅刻するよ!もうお父さんもお母さんも仕事に行っちゃったんだからね!」
おっと、このままじゃ本当に遅刻しちゃう!早く食べて後片付けしないと、最悪ゲーム没収なんて事になっちゃうから急がないと!
「けぷっ。おはよう。」
急いで食べた朝ごはんが口から出そうだけど、なんとか遅刻せずに学校に来れたよ。挨拶したけど相変わらず返事は無いね。ちらっとこっちを見るだけ。
「なんか慣れてきちゃったよ。」
慣れちゃ駄目だとは思うんだけど、ゲームで色んな人と関わってるからか前みたいに寂しくはないんだ。
知り合いの殆どが住人だけど。うん、もうちょっと旅人と交流してみようかな?
キーンコーンカーンコーン♪
午前中の授業が終わってお昼休み。お母さんが頑張って作ってくれるお弁当を持って僕は教室を出るんだ。
教室に居づらいっていうのも在るんだけど、外で食べるお弁当が気持ちいいんだよね。特にお気に入りなのは学校創立時に植えられた樹の側!
学校の奥まった場所に在るし、人も時々しか来ないからゆっくり出来るんだよね。風に揺れる樹の音を聞きながらのんびりするのが好きなんだぁ〜。
でも今日はその場所に先客が居たみたい。
「なぁヒデぇ。いつまであいつをのさばらせとくんだよぉ。」
「そうだそうだ。あんな生意気な奴解らせて退学させれば良いんだ。」
「そんな事したらこっちが退学になるじゃん。デスは物騒だな。」
何故か英雄くん、塑くん、デスくんが樹の側で話をしてた。それを見た僕は慌てて建物の影に隠れたよ。
「でもよぉ?あいつ生意気だろぉ?」
「運動しろって言ってんのにまったくしないじゃん。言う事聞かないじゃん?」
「・・・・・・。まぁな。」
何で君達の言う事聞かないと行けないのさ!そんなのこっちの勝手じゃん!
「本当の仲間でも無いくせに、クラスメイトってだけで仲良くしようとされてもねぇ?」
「それにあいつはヒデの事を教師にチクリやがったからな。何でヒデが怒られねぇと行けねぇんだ。ヒデはいつも正しいのによ!」
「僕だって間違う事は在るさ塑。」
「良いや。お前はいっつも正しい。なんせお前が居なかったら俺達は6年の時、修学旅行のあの事件で全員死んでたんだからな!」
「おい!」
「あっ、おっ、ごめんなヒデ。」
「こっちも大声だしてごめん。でも、あれは褒められた事じゃない。だからあの時の話しは辞めてくれ。」
「デリカシー無いなぁ塑は。」
「うるせぇぞデス!」
「喧嘩しない。来週から僕達はLLOで一緒に行動するんだろう?今日はその為の話し合いじゃないのか?」
「おっとそうだった。」
「ヒデと塑は種族どうするぅ?僕はねぇ・・・。」
あちゃー。あの3人あそこでお昼を食べながらLLOの話をするみたい。何処からスタートするのか知りたいけど、あんまり近寄りたくないし他所に行こうかな。
それにしても、事件ってなんの事何だろう?僕が転校してくる前だから小学部の時かな?ちょっとお昼を食べながら調べてみよう。
「えーっと、電影学園、小学部、6年、バスジャック事件っと。」
端末にさっき聞いたキーワードを入れてみる。おっ!1件だけヒットした!えっとなになに?
お手柄小学生!窮地に陥った同級生を救う!
2XXX年3月20日 電影学年小学部6年生全員を乗せた観光バスがバスジャックに遭う事件が発生した。
犯人は住所不定無職の被告人坂下剛。目的はエレクトロンの人権を白紙にしろというもの。
坂下は露頭に迷ったエレクトロンを不利な条件で雇用し、淫らな行為を行わせて金銭を得ていた。
しかし、この事件の1週間前に警察による調査に寄ってエレクトロン人権法違反が摘発され。逮捕されそうになった所を逃亡していた。
かつての自身の栄光を取り戻すべく、エレクトロンの子供が多く通う電影学園の修学旅行バスを襲ったのだ。
幸いバスの運転手による非常通報ボタンの知らせによって事件は早期に発見されたが、銃と爆弾を所持した坂下が児童を人質にバス内に立てこもってしまった。
その際事件を通報したバス運転手は左足のふくらはぎを撃たれ重症。同乗していた担任教師は頭部を強打され失神させられていた。
バスを包囲した警察が説得を試みるも犯人は激昂し、児童1人に銃を突きつけ要求が通らなければ自爆すると脅迫した。
そんな時、バスに乗っていた児童の1人が威嚇の為に坂下が空に銃を撃った瞬間飛び掛かり銃と爆弾の起爆装置を奪う事に成功した。
慌てた坂下が取り返そうと手を伸ばした所銃が暴発。発射された弾丸は坂下の右肩に命中した。
うめく坂下を見た警察は一斉にバスに突入し、無事犯人を確保。
運転手と教師が重体の状態だったが、他の乗客に怪我は無く全員無事に保護された。
警察は飛びかかった児童を危険な行為をしたと叱責。だがそれと同時に称賛し表彰する事を後日発表した。
しかし、事件を解決に導いた本人がそれを辞退。その際警察に「皆の命が掛かっている状態で軽率な行動だった。」と大人顔負けのコメントを残している。
確かに危険な行為だっただろう。だがしかし、武器を持った凶悪犯に対して勇気を持って立ち向かった事は称賛されるべきだろう。
今後の彼の成長に期待したいものである。
「バスジャック事件・・・。」
僕も聞いたことが在る事件だった。全国ニュースにもなってたはず。でも個人情報保護の観点から犯人以外の人名は出てなかったんだよね。
その当事者が英雄くん達・・・。確かにそれなら英雄くんがヒーローみたいに言われるのも解る気がする。
それに思い出した事が在るんだ。確か当時のニュースだと銃が暴発したんじゃなくて、銃を奪った人が狙って犯人を撃ってたんだ。
ハワイで親に教わってたらしいってインタビューに答えてた子が言ってた筈。
人質の子も、信じてくれって言われて目を瞑ったらすごい音が鳴って気がついたら助けられてたって。
流石に小学生が銃を撃った。なんて記事には出来なかったから変えたんだろうね。
当時もそう証言してるのが小学部の子たちばかりだったから、大人は信じてなかったみたいだし。
でもそうかぁ。この事件を生き残ったのが皆だったんだ。
そりゃ僕が敵視されるよね。だって皆のヒーローが怒られる原因を作っちゃったんだもん。
でもさ。何で英雄くんはしつこく僕に運動するように言ってるんだろう?
やっぱり先生に怒られた仕返しなのかなぁ・・・。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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英雄くん達の過去をちょっと公開。皆真似しちゃ駄目だぞ?捕まるからね?
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