第5話 僕と巨人さん達と得意な事

「「「シュルルルルル。」」」


特殊フィールドボス トライサーペント


僕の事を見下ろす3つの蛇の首。6つの黄色い目が、僕の事をジッと見つめてる。


このままだと僕もさっきの3人みたいに殺されちゃう!何とか、何とかしないと!


このゲーム。死んじゃったらペナルティが在る。ゲーム内時間で24時間のスキル使用禁止。それと、所持品と所持金の半分が死んじゃった場所にばら撒かれちゃう。


あれ?僕今所持金は0だし。持っている武器は戦闘実験で周りに置きっぱなしだし。スキルも持ってないよね?これ死んじゃっても問題無いのでは?


あっ!駄目だった!スキル使用禁止の間は経験値入らないんだった!新しくスキルを覚えられない!


何とかここから逃げたいけど・・・・。


「「「シューッ。シューッ。シューッ。」」」


「あはは。完全にロックオンって感じ。」


僕が動いてないから不思議がって様子見てるのかな?うーん、本当にこのままどこかに行って欲しなぁ。


「ねぇ蛇さん。僕弱くて戦えないんだ。だから逃がしてくれない?」


「「「シャーーーッ!!」」」


「やっぱり駄目だよねぇ!!」


し、仕方ない!こうなったら戦うしか・・・。って僕の攻撃当たらないんだった!


「こ、来ないで!来るな!」ブンッ。ブンッ。


じりじりとこっちに近寄ってきているトライサーペントに向かって周りに散らばっている武器を次々に投げる。だけど投げた武器は全然違う方向に飛んで行っちゃって、1つも当たらない。


「「「シャーッ!」」」


「ひぃっ!」ブンッ。コツン。


「あっ、当たった?」


トライサーペントの威嚇に驚いて、無意識に手から離れた指輪が偶然にも当たった。やった!初めて攻撃が当たった!


「「「フシャーーーーッ!!」」」


何て喜んだのも束の間、指輪が当たったトライサーペントが怒って叫び声を出しながら僕に攻撃してきた!


「あっ、もう駄目。」


「ふんっ!」ガキンッ!


3つの大きな口を見ながら、痛いのは嫌だなぁ何て考えてたら突然目の前に大きな影が飛び込んで来た。その影は人みたいで、両手には僕が3人は隠れられそうな大きな盾を持ってる。よく見たら背が凄く高い。普通の人よりも大きいから巨人種の人みたいだ。


「大丈夫か?今片付けるからな。」


「「「シャーッ!!」」」


「甘いわ!」ガガガンッ!


凄い!トライサーペントの噛み付き攻撃を綺麗に盾で受け切ってる!それに、弾いた攻撃で別の首が攻撃出来ない様に邪魔してる!


「パパ!」


「父さん!」


「俺が抑える!攻撃はシアとアイギスに任せた!」


「「はいっ!」」


いつの間にか、巨人さんの傍には緑の髪と白い髪をした女の人達が立ってた。巨人さんの言葉を受けて緑の髪の人は手を組んで祈り初めて、白い髪の人は腕を変形させた銃を構えてた。何あれカッコ良い!!


「行きます。」バキューン!


「シャーッ!?」


白い髪の人がトライサーペントの右の頭を撃ち抜き。


「えーーーい!」


「シャベッ!?」


緑の髪の人が地面から木で出来た腕を生やして左の頭を潰した。


凄い凄い!かっこいい!


僕は最後に残った真ん中の頭と巨人さんに注目した。どんな攻撃で倒すんだろう!


「シャ!?シャッ!?」


「残念だったな。これで終いだ。」


「止め。」バキューンッ


頭が2つ潰されて慌てるトライサーペント。その止めを刺したのは、白い髪の人が撃った銃弾だった。ちょっと残念。巨人さんの攻撃も見て見たかったなぁ。


「大丈夫か?災難だったなぁトライサーペントに襲われる何て。」


「あっ。助けて貰ってありがとうございます!」


「気にすんな。丁度襲われてるのが目についたからな。」


やっぱりこの人巨人さんみたい。女の人より身長が2倍くらい在る。後顔が凄くごっつい!西部劇とかで出て来そう!


「あっ、あの!名前を教えて下さい!」


「ん?俺か?俺の名前はルドってんだ。こっちはシア。こっちはアイギス。2人共俺の娘だな。」


「よろしくねぇ。」


ペコリ


緑の髪の人はシアさんって言うのか。髪の毛の中から植物の蔓みたいなのが出てるのはそう言う種族なのかなぁ?白い髪の人はアイギスさんって言うんだね。無口な人なのかな?2人共お姉ちゃんみたいな感じがする・・・。もしかしてエレクトロン?


「ぼ、僕はミノルって言います!あのっ!どうしたらルドさんみたいに戦えますか?」


さっきのトライサーペントとの戦闘でルドさんはずっと攻撃が他の人に向かない様に立ち回ってた。運動が出来ない僕からしたら、運動量も状況判断も凄くてとてもカッコ良かったんだ。だからついつい思い切って聞いちゃった!


「うーん。俺は別に戦ってないからなぁ。」


「えっ?でもずっと盾で戦ってましたよね?」


「あぁ、言い方が悪かったな。俺は守る事は出来ても攻撃出来ないんだよ。まったくまた攻撃出来ないなんてどうなってるんだか・・・。」


「?」


「おっとすまん。最後のは唯の愚痴だ。」


あれ~?確か盾でも攻撃出来た筈だよね?なのにどうして攻撃出来ないんだろ?


「まっ。呪われてるとでも思ってくれればいいさ。それで?どうして戦い方を教わろうとしたんだ?」


「えっと、僕リアルだと全然運動出来ないんです。だから、ゲームの中ならって思って今日始めたんですけど・・・・。」


「上手くいかなかったって訳か。」


「はい・・・・・。」


「パパ。この子もしかしてハイブリットかもよ?」


「シア?そうなのか?ミノルの親のどちらかはエレクトロンなのか?」


「あっ、はい!お母さんがそうです。」


「エレクトロンと人の間に生まれた子の中には、時折そう言う子が生まれる。人としての感覚とエレクトロンとしての情報処理が混線している可能性が高い。だから、リアルでもゲームでも不得意な部分が出来ないと考えられる。」


「えっ!」


突然アイギスさんが饒舌に語り始めてビックリした。でも、僕はその事よりも内容の方に驚いた。だってそれって僕はずっと運動出来ないって事でしょ?


「それって治らないんですか!」


「治る可能性は十分に在る。だけどそれには長い時間が必要。すぐには不可能。」


「そ、そんなぁ・・・・。」


せめてゲームの中ではと思って買って貰ったのに。これじゃ意味が無いよぉ・・・。


「詳しく検査してみたい。住んでいる場所は何処?」


「えっと。電影市です。」


「ん。それなら近い。後で勤務先の病院を紹介する。連絡しても?」


「えっと?」


「おいおいアイギス。いくら本職が医者だからってゲームの中でリアルの事を聞くのは御法度だぞ?」


「そうだった。だけど心配だから・・・。」


アイギスさんってお医者さんなんだ。もしかして登録してる人なのかな?だったら大丈夫かも?


「パパ。アイギスは職業登録してるから緊急時に応援を求められる方だよ?身元の保証もバッチリだから大丈夫だよ。」


「それもそうか。」


やっぱり2人はエレクトロン何だね。エレクトロンのお医者さんや救急隊員の人は電脳世界で何か在った時に対応をお願いされる場合が在るんだって。


だから、緊急対応をしても良いって人は勤務先と職業を登録して在るんだ。そうしたら、何か在った時に対応しても責任は勤務先が取るし医療措置として扱われるみたい。EEDの説明書に書いて在ったよ。


「ミノルは保護者登録してるみたいだから、後で直接両親に説明する。心配いらない。」


「えっと、お願いします。」


一度病院で見て貰えるのは良いけど、すぐに治らないならゲームやってる意味が無くなっちゃうよ・・・。


「はぁ・・・・ゲーム辞めちゃおっかなぁ・・・。」


「戦えない位で辞めちまうのはもったいないな。予約生産制のゲームだし。安くはなったとは言え金が掛かってるんだ。」


「でも僕のやりたかった事が出来ないみたいだし・・・。」


「ミノル君。君、何か得意な事はない?」


「えっ?」


「ん~。そうねぇ。植物に関わる事で褒められた事って無いかしら?」


そう言えば。僕は小学生低学年の頃田舎でばあちゃんと暮らしてた時期が在る。その時に言われたっけ。


『実がお世話すると作物が良く育つねぇ。実は緑の手でも持っとるんかねぇ。』


って。あの頃は今よりも運動出来なくて。良く何かに躓いたり物にぶつかったりしてたけど、農作業だけは何でか出来たんだよね。出来る事が嬉しくて、夢中になってやってたっけ。



毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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