第9話 僕と初作物とネズミ

あ、危なかった・・・。ハーメルンに辿り着く前にスタミナが完全に無くなっちゃって歩くのも難しくなった上に目眩までしすんごく気持ち悪かった・・・。


畑仕事に集中しすぎたせいで、スタミナ使いすぎて飢餓なんて状態異常になってたのが原因みたい。HPも少しづつ減って行って死んじゃうところだったよ。


門の近くに串焼き屋さんがあって良かった・・・。


今回の反省を活かして少しだけ食料も買い込んだよ!携帯食料と串焼きしか買えなかったけどね。これでお金は完全に0G。早く野菜を育てて稼がないと!!


で、今何してるかって言ったら肥料を混ぜた土を更にこねこねして土作りの続き。


この肥料すごいんだ。土に馴染むのに普通は時間がかかるはずなのに、半日くらいで肥沃な黒い土が出来ちゃたんだから。


流石農業ギルドがお勧めする肥料だよね!!


でも今回は育てたい作物があんまり肥料の要らないものだから入れる量は少なめ。余ったのは別の作物を作るときに使うよ。


土が出来たら次は畝作り。鍬で土を掬って盛り上げていく作業。これはもう一人で黙々とやるしかないね。


畝ができた所で今回作る作物はこちら!!じゃじゃ~ん。大豆でーす!


こっちの世界だとダヅっていうんだって。シアさんから貰ったタネ袋の中に結構な量が入ってたから、まずばこれを育てて見ることにしたんだー。婆ちゃんと一緒に最初に育てたのも大豆だったからね。最初に作るには良いと思ったんだ。


とうかこの種袋。ギルドで見せて貰った物と微妙に色と形が違うし、取り出したい種を思い浮かべたら中から種がどんどん出て来るんだけどどうなってるんだろう?今度チャットで聞いてみようかな。


それで今回育てる大豆、ダヅがちゃんと出来たら枝豆も食べられるはず!醤油とか味噌作りにチャレンジできるもんね。加工食品は卸値が高いのだ!


うまく作れるかどうかは別問題だけど。


でも粉にしたり、そのまま食べたりといろいろ使い道はあるからいいと思うんだよねー。


というわけで作った畝に穴を開けて1粒2つ部をパラパラと。しっかり土を被せて何かに食べられないように。でも被せすぎて芽が出なくなるのも駄目!いい塩梅にするのが難しいのです。


「出来たー!」


植え付け完了!ハーメルンに行った時にダヅの事をヤマブキさんに聞いたんだけど、ダヅは3日もあったら収穫できるみたい。それまでは手入れと水やりをしっかりしないとね!リアルより畑作りも楽で収穫も早いのに何で皆続けられないのかなぁ?


『保護者から連絡が来ています。』

『実ー、そろそろお昼よー。一旦帰ってらっしゃい。』

『メッセージは以上です。』


ありゃ。もう3日経っちゃった?ココで3日ってことはリアルで3時間経ったって事。


今日は起きるの遅かったし仕方ないかー。ご飯とか色々済ませてから続きしよ!


EEDを外してリビングにゴー!今日のお昼は~。鳥のラーメンだ。お母さん手抜きしたね?


「ネギとハムと卵入れて在るんだから手抜きじゃないのよ。お父さんはこれが好きですもんねぇ。」


「ん。」ずずーっ!


お父さん、お話するよりも食欲優先しちゃってるよ・・・。でも良い匂い。僕も早く食べようっと!


「実。どうだゲームは?楽しいか?」


僕が食べ始めたら、食べ終わったお父さんが話しかけて来た。お父さんもゲームの事が気になるのかな?


「もぐもぐもぐ。うん、楽しいよ!現実みたいにすっごくリアルに作られてるんだ。凄いんだよ!」


「そうか。それなら良かった。念願だった冒険は出来てるか?」


「うーん。思ってた冒険と違うけど。やってみたい事が出来たから大丈夫!ゲームの中だけど、人の役に立てそうなんだ。だから頑張るよ!」


「そうか。楽しいんだったらいい。何か在ったら言うんだぞ?」


「うん!」


あっ、そう言えばアイギスさんから連絡在る事を言っておいた方が良いかな?直接連絡するって言ってたけど。僕からもお話しておいた方が良いよね。


「えっとね。ゲームの中で知り合った人が、僕の体質の事で直接連絡取りたいって。病院の先生で職業登録してる人でアイギスさんっていう人。端末に連絡が来ると思うよ。」


「む?どこか悪いのか?」


「んー。僕が運動出来ない理由が解るみたい。」


「あら。小さい頃に病院で見て貰っても解らなかったのに本当に解るのかしら?実、騙されてない?」


「本当に職業登録しているなら大丈夫な筈だ。説明書にも書いてあったからな。解った。連絡が来たら話しておく。」


「よろしくね。」


さぁさっさとご飯食べてゲームの続きをするぞー!


「あんまりゲームバッカリしてちゃ駄目よ?勉強もしっかりとね。」


「今日は良いの。僕の誕生日なんだから1日遊ぶの。」


「こらこら、お母さんのお手伝いもちゃんとやらないと駄目だぞ?」


「お父さん良い事いうわね。という訳だからご飯食べたら近所のスーパーでケチャップと卵買って来て頂戴。」


「えーっ!そんなの宅配サービス使えばいいじゃーん!遊びに行ってるアク姉にも頼めるし。」


僕は早くゲームに戻りたいんだから。ダヅのお世話しないと。


「宅配だとちょっと割高なのよ。アクアは連絡付かないから仕方ないのよ。夜は実の好きなハンバーグオムライス作るんだから文句言わないの。」


「本当!?ダッシュで行って来る!」


「現金な奴だなぁ実は。」


「頼んだわよ実。」


ロッグイーン!ご飯食べてお使いに行ってトイレを済ませてたら2時間も経っちゃってたよ。ダヅは大丈夫かなぁ?


おー!!しっかりと緑の葉っぱが茂ってる!!葉っぱの下にびっくり膨らんだ枝豆も沢山だ!こっちだと枝ダヅって言うのかな?


うーん、でも2日もお世話してなかったから、ちょっと実が小さいみたい。今回は枝ダヅは見送りかなぁ。


ログアウト中のお世話もなにか考えないとね。作るならやっぱり良いものを作りたいもん。


「お水をあげましょルンルル〜ン。」


お水を撒いて、余分な葉っぱを切り取って。鋏が在って良かったよ。そうだ!抜いた雑草!もう乾いたかなぁ。


おー。結構な量が在った雑草がちゃんと乾いてる。うん、これならベットに詰められそう。その前に虫とかが入ってないかチェックしないとだけど。繊維質が固くて丈夫そうな奴で籠も作っとこう。収穫の時に必要になりそうだもんね。


細々とした事やってたらすぐにスタミナが無くなちゃうなぁ。やっぱり体を動かしてるから減りが早いんだね。


という訳で取り出したるは携帯食料!なんか穀物とドライソーセージみたいなのが入ったシリアルバーみたいな奴。味はけっこうしょっぱい。旨味とかも無いから美味しくない・・・。うん、無理矢理飲み込んじゃえ。


畑の拡張は・・・。うーん、木が邪魔だよねぇ。どうにかしたいなぁ。あっ!もう夜になっちゃう!明日はダヅの収穫だし早く寝ないと!お休みなさーい。


「わー。しっかりとダヅが出来てる。」


昨日は青々と茂ってたダヅが今日は全部茶色に染まって葉っぱが落ちてる。バッチリ収穫時期です!手でぶら下がってる房をプチプチ千切って収穫収穫♪昨日作った籠に溜まって行くのを見るとちょっと嬉しくなっちゃうね。


収穫が終ったら今度は房から取り出す作業。手間も時間も掛かるけどこの作業は嫌いじゃないよ。中身は、ちょっと小ぶりだけど良い感じ。何作ろうかなぁ。


全部取り出したら背負い籠の半分くらいにはなった。うんうん。この半分は売って。残り半分は次のダヅを育てる時に使って、残りは自分で使うようにしよう!お金が無いと加工する為の入れ物が買えないもんね。


「ちゅ~・・・・・。」


「へっ?」


家の1階部分で作業してたんだけど、作業が終わった所でなんかすっごく小さい鳴き声が聞こえて来た。こ、この声は農家の天敵のあいつでは!?


ゴソゴソゴソ。


「ちゅ~・・・。」


農具が置いて在る場所から鳴き声の主が出て来た。黒くて短い毛。長い尻尾。伸びた鼻。そして猫喰らい大きな体。でもその見た目は完全に。


「鼠だぁぁぁぁぁぁぁ!!」




毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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