第14話 僕と新しい家畜と広がる畑
は、畑に植えてあったダヅが根こそぎ牛さんに食べられてしまった・・・。せっかく売りに行こうと思ってたのになぁ。
「ちゅ〜・・・。」
「ぶも・・・。」
「あっ!!気にしないで!!ダヅはまた育てたら良いんだしね。それよりも牛さんはこれからどうするの?仇討ちなんてしなくても良くなったわけだし、元の住処に帰る?」
「ぶもん。」
どうやら住んでくれるらしい。チュー太用にって作った厩舎だけど、大きめに作ってあるから牛さんも十分住めるね。改築しなくても良さそう。
『!@#$%^&*が家畜になりたいと意思を示しました。家畜にしますか?』
アナウンスも来た。これはもちろんYESを選択っと。
『!@#$%^&*が家畜になりました。名前を決めてください。』
「それじゃあ君の名前はチュー太のお友達みたいだしウー太で!これからよろしくねウー太!!」
「ぶもっ!!」
こうして僕の農園に新しい仲間が出来た!
「うわっすごーい!」
「ぶもーっ!!」
家畜になってくれたウー太はそれはもう凄い働きを見せてくれた。
僕が邪魔だと思ってた大きな岩をその角で動かして退かしてくれたし。大きな樹はダメだったけど小さい樹なら体当たりでへし折ってくれた。残った根っこも角で掘り返してくれんだよ。
邪魔な岩と樹がなくなった事で僕の畑は3倍位に大きくなった。でもそうなると困ったことに、土を耕したり肥料を撒いたりするのに人手が足りなくなっちゃったんだよね。
種まきはチュー太が手伝ってくれるから問題ないんだけど、それ以外の作業が追いつかなくなっちゃった。だって人の手は僕しか持ってないんだもん。
だから僕はハーメルンに行ってヤマブキさんに相談することにした。ついでにウー太が引ける荷車でも無いかなぁ。
ということでやってきました農業ギルド!!ギルド横の畑で作業していたヤマブキさんを見つけて声をかけたんだけど・・・。
「ちょっとまってミノル君?その後ろに連れてきてるのは?」
「この子がウー太です!ウー太が引ける荷車を買うんだったら、本人?本牛?がいたほうが良いかなって。」
「私はどうしてオーガカウを家畜にしてるのか聞いてるのよ!!一体どうやったの!!」
「オーガカウ?えっと、この子はチュー太が連れて来てくれたんですけど・・・。オーガカウって一体何ですか?」
「オーガカウは魔の森に住む牛型の魔物の事!発達した筋肉と何でも貫く角を持っていて、暴れる様はまさにオーガのそのもの。一度暴走したら誰も止められないの。冒険者も傭兵も、騎士でさえ1人で出会ったら逃げろと教えられる危険な存在なのよ!」
あー。だからここに来るまでにウー太の事をジロジロと見てる人がいたのかぁ。叫び声を上げて逃げる人も居たけど、あの人はそのオーガカウにキルされちゃった人かもしれない。
「ウー太ってそんなに凄い牛さんだったんだねぇ。」
「ぶもっふ。」
ヤマブキさんの話を聞きながら横で大人しく待ってくれているウー太の頭を撫でる。ウー太の顔がドヤ顔してるように見えるよ。
「そんな呑気に触れ合える存在じゃないのよ?普通だったら頭を触ろうとしたら大暴れしてここらへん一体更地になるのよ?」
「でもウー太は大人しいですよ。ねー?」
「ぶもー。」
「はぁ。まぁいいわ。それで広がった畑の開墾作業と荷車だったわよね?それならここに馬に引かせるようの農具がいくつかあるわ。荷車もギルドで販売してるから買えるわよ。」
「全部ください!」
「今から準備してくるわ。少し待ってなさい。」
ヤマブキさんが農具と荷車を持って来てくれて、ウー太の体に合うように色々と調整してくれた。
僕は買った農具をインベントリに入れて、荷車はウー太に引いて貰った。ついでに脱穀機とか色々買ってたらあっという間に30種類埋まっちゃったんだよね。
せっかく街に来たんだからってお布団とか調理道具とか調味料とか色々追加で購入しちゃったから仕方ないね!
「明日からまた頑張って野菜作らないとね。」
「ぶんもっ。」
「もちろんウー太にも手伝ってもらうからね!」
「ぶもっ!」
インベントリに入り切らなかった荷物を荷車に乗せてトコトコと農園に向かって歩く。
うん、荷車は問題なさそう。ウー太も問題なく引くことが出来てるね。どちらかというとちょっと物足りない感じなのかな?まだまだ余裕はありそう。
そんな確認をしながらのんびりとハーメルンを出て街道を歩き始めたんだけど、僕たちの眼の前に突然3つの人影が飛び出してきた。
「あらあら残念!ここから先は通行止めだよ〜ん!」
「通りたかったら通行料置いて行くんやで!」
「痛い目見たくないでしょー?大人しく言うことを聞きなさい坊や?」
僕が影に驚いて固まってると、なんか緑の細い人と、紫のゴツい人と、黒いきれいなお姉さんが通せんぼしてお金を出せって言ってきたんだよね。
それぞれの手にはおっきなフォークとスプーンに鞭が握られてる。フォークとスプーンってどんな武器種になるんだろう?
「僕に何か御用で」「ぶも。」ガチン!がしゃん!「あっ。」
僕が通せんぼしてきた3人に質問しようとした時にはもうウー太が動いてくれてた。
ウー太の引いている荷車には、牽引している動物が暴れた際に自動で金具が外れる機構が付いてるんだけど、それを器用に自分で外して。角を突き出しながら前足で地面を掻いてる。もう完全に戦闘モードって感じ。
「なんざんしょこの牛ちゃんは。すき焼きにして食べちゃいますよ。」
「丸焼きもええなぁ。」
「どっちにしてもここで稼がなきゃ食っていけないんだ。あんた達やっておしまい!!」
臨戦態勢を整えるウー太を見て向こうも戦う気満々になっちゃった。ってあれ?よく見たらあの人達ドクロのマークが付いてる。って事は赤落ちの人!?
ドクロのマークを見て僕は農園が襲われた事、チュー太が蹴り飛ばされちゃったこと、何も出来ずにキルされちゃったことを思い出した。
ガクガクと震える体に、逃げようにも全然動かない体。恐怖に縛られた僕は、なんとかウー太に声をかけるので精一杯だった。
「逃げてウー太!この人達悪い人だ!僕は死んじゃっても復活できるから大丈夫。だから逃げて!」
もしかしたらあの時チュー太は死んじゃってたかもしれない。この3人はあの時の人達よりも強いかもしれない。ウー太が、死んじゃうかもしれない。
だから僕はウー太に逃げるように声を掛けたんだ。僕は大丈夫だから、無事に逃げてほしくて。
だけど、僕のこのお願いは聞き届けられなかった。なぜなら・・・。
「ぶぅぅぅぅぅもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「「「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」
「あれ?3人組は?」
僕が助けを求めた時にはもう、自体は終わっちゃってたんだから。
僕が見たのは空を貫かんばかりに後ろ足を蹴り上げてるウー太の姿と、遠くの方の空で悲鳴とと共にお星さまになる3つの人影だけだったんだ。
僕は、ウー太があの3人をやっつけてくれたんだってピンと来た。
「凄いやウー太!」
「ぶふぅ〜。」
ウー太がこれだけ強いなら、これからも街に行く時はボディーガード兼荷運び役として毎回着いてきて貰っちゃお。
「ぶんもっ。」
「報酬としてダヅが食べたい?じゃあ帰ったら沢山作らないとね!急いで戻ろうか?」
「ぶもっ!」
荷車をもう一回ウー太に装着して、僕達は農園に帰るのだった。もちろん戻って広げた畑に沢山ダヅを植えたよ!ご褒美は沢山準備しとかないとね!
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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