第20話 僕と傭兵ギルドと頼んでた傭兵さん

家に帰った僕は早速ゲームにログインした。そうそう、ログインするときにナビさんが今度EEDのメンテナンスが在るからゲームは出来ませんって教えてもらったよ。


ちょうどその日に僕は病院に行くことになったってお母さんから聞いてたから、丁度いいねってお話してきた。


さぁそんな事より今日はこっちで友達を作るぞー!!っとその前に畑の様子とグランドリーフの納品確認をしなきゃ!


「ちゅっ!」


「ぶもっ。」


「ただいまチュー太。ウー太。畑は大丈夫だった?」


「ぶもっ。」


「畑は問題なしだったんだね。」


「ちゅっ!」


「あっ!ダヅとカプ収穫しててくれたんだ!ありがとうチュー太!グランドリーフはどう?」


「ちゅちゅっ!」


「ヤマブキさんが取りに来てくれたんだね。納品ありがとう。」


ヴァカス酒店とグランドリーフの売買契約を締結してすぐに、ヤマブキさんが農園に収穫BOXを設置してくれたんだよね。


このBOXはアイテムを入れておけば、農業ギルドの職員が収穫物を取りに来てくれて、契約相手に届けてくれる物なんだって。


僕は今までちゃんとした契約をしてなかったから、農業ギルドに直接持ち込んでたんだ。だけど今度からグランドリーフに関してだけは、この収穫BOXに入れておくだけで良いみたい。どうせなら全部の収穫物に対応して欲しいなぁ。


「ぶんも。」


「えっ?傭兵ギルドには行かないのかって?なにか用事あったっけ?」


「ちゅ〜?ちゅちゅっ!」


「そうだった!僕の護衛をしてくれる人を紹介してくれる約束だった!!」


「ぶんも〜・・・・。」


「忘れてれば良かったのにって、それは酷いんじゃないウー太?」


完全に忘れてた僕のほうがもっと酷いとは思うけどね。


「それじゃ今日は傭兵ギルドに行ってからついでに農業ギルドにも顔を出そうかな。薬師ギルドに紹介したいってヤマブキさんも言ってたし。」


「ちゅっ!」


「うん、チュー太はお留守番よろしくね。行こうかウー太?」


「ぶもっ。」


という訳でやってきましたギルド会館!今日は先に傭兵ギルドのバルトさんの所に行かないとね。


「こんにちわー。バルトさん居ますか?」


「おう。待ってたぜミノル!」


傭兵ギルドの受付に声を掛けたら、すぐに裏からバルトさんが出てきてくれた。すっごくニコニコしてるけど良いことでも在ったのかな?


「いやぁ!お前のお陰で命の酒が飲み放題になったからな!お陰でうちのギルドの業績もうなぎ登りでギルド評価もウハウハよ!」


「そんなに違うものですか?」


「全然ちげぇな!やっぱりいい酒は俺達の燃料だって再確認したわ!っと、そうだった。今日は護衛の紹介だったな。すぐに連れてくるから待っててくれ。」


バルトさんはニコニコしたまま裏に引っ込んでいって、1人の女の人を連れて来てくれた。あれ?てっきり男の人が護衛に就いてくれると思ったんだけど違った?


見た目?こげ茶色の髪をウルフカットにしてて、目は黒色。スレンダーな体系で背中に槍を背負ってる人だよ。


それと、うん、無いね?どこがとは言わないけど、無いよ?あっ睨まれた!!


「待たせたな。こいつの名前はハント。最近うちに入った新人なんだがよ。こいつは天才な上に腕の方もピカ一でな。俺達が教えられる事は全部もう覚えちまったんだよ。でだ、色々とギルドの仕事を任せて見たんだが問題が起こってなぁ。」


「問題ですか?」


「あぁ、こいつはな?「大丈夫、自分で話す。」おうそうか。なら自分で喋りな。」


「はじめましてミノル。私の名前はハント。最近このゲームを始めた普人種の旅人。」


「旅人なんですね。あっ!僕の名前はミノルです!同じ旅人で種人種です!農園やってます!」


「知ってる。」


ずっと真顔で僕の顔を見てたハントさん。寡黙そうな人だからあんまりお話したくないのかな?なんて思ってたけど普通に会話に混ざってきた。それで問題って一体何だろう?


「バルトが言った私の問題。それは、私自身があまり戦いたく無いと思っている事。」


「戦いたくない?」


ならなんで傭兵ギルドになんて入ったんだろ?


「正確には戦いたくなくなった。だけど。」


「戦いたくなくなった?」


「傭兵は対人戦を主にしている事は知ってる?」


「それなら知ってます。」


「そう。私はその対人戦で勝ち過ぎてしまった。だから人から疎まれ、傭兵仲間からも一緒に組みたくないと言われてしまった。」


えっと?なんで勝ち過ぎちゃうとそんな事になるの?傭兵ギルドで受けたクエストをクリアし続けてたってことだから良い事なんじゃないの?


「ちょっと補足するとな。傭兵ギルドの評価ってのはそいつがどれだけ戦に貢献したか。どれだけ相手に勝てたかが評価になるんだよ。でだ、このハントは”1人で”勝ちすぎちまった訳だ。そうなると、一緒に戦ってた仲間に支払われる報酬が少なくなる訳だな。それでこいつと組むのを皆嫌がっちまってなぁ。」


なるほどー。そりゃ稼ごうと戦いに行ったのに、1人が大暴れして全くお金が貰えないってなったら嫌な気持ちになるもんねぇ。


「嫌がらせもされて、暴言も吐かれて私は疲れた。だから少しのんびりしたい。」


「ほとぼりが冷めるまで何処かに1人で遠征させるかと思ってた所で、ミノルの問題が持ち上がったろ?丁度いいと思ったんだよ。お前の希望も凄腕の1人と契約したいって事だったしな。」


うん。本当に都合がいいね。僕としてもそんなに強い人が護衛してくれるなら是非ともお願いしたい所だ。


「事情は分かりました。是非ハントさんに護衛して貰いたいんですけどちょっと心配な事が。」


「契約金の事か?」


「はい。そんなに強い人ならお値段もそれなりにしそうだなぁって。」


ギルドの口座には結構な金額が入ってた筈だけど、あんまり高額だと支払えないかもしれないんだよね。だからここはしっかりと確認しておかないと!


「お金の心配なら要らない。衣食住を保証してくれればそれだけでいい。」


「えっ!?それだけで良いんですか!?」


支払う気満々だったのに衣食住の保証だけで良いなんてそれは破格すぎるでしょう!?


「言い方は悪いが匿って貰う訳だしな。本人もこう言ってるから気にしなくても良いぞ?」


「いえ!お仕事なんですからちゃんと報酬はお支払いしますよ!」


「ん。なら農園で取れた野菜が食べたい。私は肉より野菜のほうが好き。時々畑の手伝いもしたい。」


「さらにこっちが恐縮するようなお願いが出た!?」


その後なんだかんだ話し合って。ハントさんへの報酬はうちの農園で取れた収穫物のおすそ分けという事で決着した。グランドリーフも収穫物の一部だからね。分けた物を売るだけでも一財産だからそれでいいって、ハントさんに強引に押し切られちゃったよ。畑のお手伝いは、暇なときにお願いする事になりました。


「っし。それじゃこれで契約は成立だな。期限はとりあえず半年。その後更新するかどうかは本人たち次第だ。更新時に契約期間の見直しも出来るからな。」


「はい!これからよろしくお願いしますハントさん。」


「ハントで良い。こっちもミノルって呼ぶ。これからよろしく。」


パンパカパーン♪


という訳でうちの農園に護衛のハントさんが仲間入りしました!


「ぶもっ。」


「ん。よろしく。」


「凄い。もうウー太と意思疎通が出来てる・・・・。」


外で待ってもらってたウー太に早速紹介したら秒で通じ合った。これも天才だからなのかな?


「じゃあ次は農業ギルドに行きます!」


「わかった。」


「ぶもっ」


はっ!?旅人であるハントさんと一緒に居るということは友達になるチャンスも在るのでは!?


これは今日の目標を早速達成出来そうだし良い事がありそう♪そんな事を思っていた時期も在ったよ・・・。


「良い所に来たわねミノル君!君に至急のお願いがあるの!」


農業ギルドで待ち構えてたヤマブキさんが、僕にあんなお願いを持って来なければね?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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