第33話 僕と傭兵ギルドと冒険者ギルド
「ふぅ。やっと畑の掃除が終わったね。」
「蔓が沢山だった。大変だった・・・。」
「チュー・・・。」
「ぶもぉ・・・・。」
僕達の眼の前には1日掛けて元通りにした畑の姿があった。
もう本当に大変だったよ!甘芋の蔓は林の方にまで伸びちゃってたもんだからそれも全部撤去しないと延々と伸びていっちゃうし。
刈り取るよりも伸びるスピードが早いからどうしたら良いか頭を抱えちゃったもん。
それでどうやって解決したかって?マンパワーと魔物パワーのゴリ押しです!
ハントが大剣を取り出して【大旋風】っていうスキルを使ってまずは蔓を伐採。
切った蔓は僕とチュー太が必死に回収。蔓が無くなったところをウー太が角を使って強引に掘り起こして甘芋を露出させて、これも僕達が必死に回収。
こうして何とか甘芋ハザードは終わりを迎えたんだ・・・。
「まぁお陰で甘芋が沢山収穫できて、ヤマブキさんとセイカさんが全部買い取ってくれたから儲かったけど。」
「沢山売れて良かった。これで新しい道具も買える。」
「まずは使った分の支払いが在るんだからね?ちょっとは自重してよ?」
「ぶもっ!」
「ちゅっ!」
「ウー太もチュー太も良く言った。ミノルを守る為に必要な経費は惜しんではいけない。」
「残るお金にも限度が在るって言ってるんだけどなぁ。」
刈り取った蔓を箱型のコンポスターに入れてスイッチを入れる僕。これはウェアタイガー討伐隊の所に甘芋を運んだ報酬で、ヤマブキさんが設置してくれたものなんだ。
僕が5人くらい寝転べるくらい広いこの箱は、中に入れた物を魔法の力を使って肥料にしてくれるんだって。
入れた物によって効果が変わるから、色々実験してみて欲しいって言われたよ。ぐんぐんノビールEXの効果が残ってたりしたら、凄い肥料が出来るかも!
まぁ肥料が出来るまで1日掛かるみたいだから。どんなのが出来るかは明日のお楽しみだね。
「ミノル。私達は明日ログアウト。」
「そうだった!明日は学校だった!」
「ぶもっ!ぶもぶもぶもぉっ!!」
「えっ?僕達が帰ってくるまで修行に行きたい?うーん。甘芋は沢山納品したけど八百屋さんに下ろすための野菜を植えていくよ?チュー太1人でお世話は大丈夫?」
「ちゅっ!!」
「甘芋ハザードよりはましだから大丈夫なの?でも無理はしないでね?」
「ちゅっ!」
「ぶもっ!」
「修行場を教えて欲しい・・・。なるほど。ウー太も強くなりたいと。ならば教える。」
「ぶもー。」
ウー太の気合が違うね。真剣にハントの話を聞いてる。うーん。僕が攫われちゃった事を気にしてたみたいだし、こっちも無理しないと良いけど・・・。
「邪魔するぞー。ハントは居るか?」
「あれ?農園にバルトさんが来るなんて珍しいですね。」
「おうミノル。無事で良かったな。あいつもしっかり仕事をこなしたか。それでよ、ハントは居るかい?」
「今ウー太と話してる所です。ハント!バルトさんが来たよ!」
「?ギルド長?何で来た?」
「おう。ちょっと面倒事だ。」
バルドさんはすごく渋い顔をしながら、ハントに相談が在るって言ってきた。
話の内容が気になるけど、僕が聞いて良いものかわからないし、畑の中で話す事でもないよね?だから僕は家の中にどうぞって2人を案内したんだ。
「これ。出荷できないグランドリーフの葉っぱで作ったお茶です。良かったら。」
「おっありがとよ。」
「それでギルド長。面倒事とは?」
ハントは回りくどい事が嫌いなのか直球でバルトさんに要件を聞いた。
「お前さん、ミノルを助けるために単身ウェアタイガーの塒に向かった。間違いないな?」
「間違いない。塒の情報はギルド長にも渡した。」
「その塒に奴が居なかったんだよ。」
冒険者ギルドで偵察が得意な人が聞いた情報を元にウェアタイガーを探しに森に入ったんだって。
でも僕が捕まってたあの落とし穴には、もうウェアタイガーの姿はなかったんだって。
その情報を聞いた冒険者ギルドのギルド長であるレトさんは、バルトさん達が自分達からウェアタイガーを隠して、勝手に討伐するつもりだって大騒ぎになってるみたい。
「ミノルを助け出した後、塒を変えた可能性が在る。」
「おう。もちろん俺もそう言ったんだぜ?だがよ。あいつはお前たちが情報を隠したんだ。今すぐ居場所を吐けの一点張りよ。じゃなければ冒険者ギルドの損害を傭兵ギルドが払えってよ。それでよハント。お前、ウェアタイガーにマーキング打っちゃいないか?」
そういえばハントはどうやって僕の事を見つけてくれたんだろう?マーキングっていうのがスキルなのかな?
「ウェアタイガーに【マーカー】は打てなかった。ミノルを連れ帰るので精一杯。【追跡】もすでに外れてる。」
「かぁー。やっぱり駄目だったかぁ。面倒くせぇなぁ。」
「バルトさん。冒険者ギルドに払う損害賠償ってどのくらいなんです?」
「あん?何でミノルが居るんだ?」
さっきお茶を出したのは僕でしょうに!!僕が立ち去る前にハントが本題に入っちゃったから離れるタイミングを逃しちゃったんだよ!
「まぁ良いか。ミノルにも関係在る話だしな。」
僕にも関係在る話?冒険者の人と知り合いなんて居ないよね?なんかちょっと怖くなって来たんだけど・・・。
「彼奴等はな。冒険者何だ。魔物を狩り、金を稼いでパーッと酒と女と食い物に使っちまう。たまに装備品も買うか?まぁそういう刹那主義な連中が冒険者だ。そんな冒険者の大本が、俺達に要求するっつったらよ。今は1つしか無いと思わないか?」
「1つしか無い?ウェアタイガーを討伐する人手とか?」
「馬鹿野郎。彼奴等にもプライドってもんが在るんだ。傭兵の手を借りて討伐したとなったら冒険者のメンツは丸潰れだろうが。酒だよ酒。俺達にはお前が材料を用意してくれた命の酒が在るだろうが。」
そうだった!畑で育ててるグランドリーフの地下茎はお酒になるんだった!畑の復興してる途中でヴァカスさんが鬼の形相で取りに来てたなぁ。でもそれならヴァカス酒店で買えば良いのでは?
「あの酒はお前の護衛をする為の報酬でも在る。だからヴァカスは傭兵ギルドにしか命の酒を売ってねぇんだよ。」
「大体わかった。冒険者ギルドも命の酒の購入権利を欲しがった。」
「そういうこった。ついでに原料の製造者も教えろって言ってきやがったよ。自分達も守ってやるからってよ。」
うーん。農園襲撃事件の時の3人が元々は冒険者だった関係で、あんまり冒険者ギルドを信用してないんだよなぁ。
「安心しろ。製造元の情報は教えらんねぇと突っぱねといた。ヴァカスにも言うなって念押ししてある。あいつもウー太に蹴られたくないから絶対に言わないって言ってたぜ?」
「でもそれじゃ冒険者ギルドと和解できないんじゃ?」
「そうなんだよなぁ。さてどうっすっかねぇ。」
「ウェアタイガーが見つかれば良い?」
「まぁそれが一番だな。」
「なら丁度良い餌が在る。」
「ほう?そいつは一体何だ?そんな情報は聞いてなかったぞ?」
「聞かなくても解ると思った。ウェアタイガーが唯一持って帰った物。」
「むっ!そういえばここに極上の餌が在るじゃねぇか。何で俺はこんな簡単な事に気が付かなかったんだ!」
2人で凄く盛り上がってるけど、僕は逆にすっごく冷や汗が出始めたよ?嫌な予感がするなぁ。
「えーっとお2人共?その極上の餌ってもしかして?」
「「ミノルの事に決まってる(じゃねぇか)!」」
ですよねー。ううう、せっかくペロペロ地獄から抜け出せたと思ったのに!!
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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