第38話 僕と不安とプレゼント
「ただいまぁ。」
学校が終わって家に戻ってきた僕。今日はお父さんもお母さんもお仕事で遅くなるみたいだし、アク姉も部活の助っ人で帰りは遅くなるって。
だから今は家に居るのは僕1人だけ。何でもやりたい放題だ!
でも頭の中は朝聞いたことがグルグルと回ってて、とてもそんな気持ちにならないんだよねぇ。
はぁ、本当にどうしよう。あの3人がハーメルンに来ちゃったら・・・・。せっかく楽しんでたのになぁ・・・。
沈んだ気持ちでトボトボと手洗いうがいをしてから部屋に戻って着替えてベッドにダイブ。ベッドは僕のことをぼふんと受け止めてくれた。
天井を見上げながらボケーっと考え事。そういえば転校生。結局会えなかったなぁ。
皆が盛り上がってた転校生の話が嘘じゃないって証拠に、朝のホームルームで先生から編入生が来ると説明が在ったんだよね。
本当なら今日リモートで皆に挨拶して、そのまま一緒に授業を受ける事になってたらしいよ。
でも向こうの都合が悪くなって予定はキャンセルになったんだって。体調が悪くなっちゃったのかな?ちょっと心配だ。
って人の心配してる場合じゃないよ!僕の今後のゲーム生活の心配をしなきゃだよ!
うーん。昔のゲームとかだとサーバーが違えば会うことは無かったりするけど、LLOはサーバー別れてないからなぁ。
あれ?そういえば旅人の開始位置ってハーメルンで固定だっけ?僕の時はそのまま始まったよね?
うーん、気になる。ちょっと調べてみよう。えっと、公式ホームページはっと。ふむふむふむ?
あっ!今度アップデートで開始位置が増えるようになるんだ!
受注生産分が発送されると今の開始位置がハーメルンだけじゃ街から人が溢れちゃうんだね。
だから選んだ種族でスタート位置を変えられるようになるんだ。もちろんハーメルンを選ぶ事も出来るんだ。
へぇ〜。今遊んでる人達も希望すれば自分の種族に合った開始位置に移動することも可能なんだね。
ん〜。僕は変更しなくてもいいかな。だってもう農園の主だし。せっかく仲良くなったヤマブキさん達とお別れするのは嫌だもん。
気になるのは増える時期だよね。英雄くん達は来週始めるって言ってたし、それより早く更新されれば良いんだけど。
えっと今度のアップデートは・・・。あれ?今日だったの?あっもう終わってるんだ。これなら会う確率は下がるよね!
・・・・。でも念の為に英雄君達がゲームを初めてすぐは農園に引きこもっとこうっと。念の為ね、念の為。ゲームキャラだからバレないと思うけどね?
ウェアタイガーを仲間に出来たらウー太達の力を借りて追い返せたりするかなぁ?
はっ!いやいやいや駄目だよそんな初心者狩りみたいな事したら!僕一応先輩プレイヤーだからね。ゲームマナーはしっかり守らないと!
うん。実際に会ったとしても僕の方が先輩なんだし、農園に居たら見つからないだろうし大丈夫だよね!
いつまでもうだうだ考えるより先にウェアタイガーの対処しないと。まだ討伐されたって情報も無いし、テイムもされてないみたいだもん。
早くログインして、街の困り事を解決しよう!!という訳でEEDを装着!起動!
ダイブOK YES/NO
もちろんOK!!レッツゴー!!
キュイーンとEEDが起動して、僕の意識は電子の海の中に飛び込んでいった。
「いらっしゃいませ実様。」
「あれ?ラビィさん?お久しぶりです?いつもはすぐにゲームが始まるのに今日は珍しいですね?」
いつもだったら1つしか遊べるゲームが無いから自動的にLLOが始まるんだけど、今日はなぜかラビィさんの居るロビー空間に転送された。
ラビィさんの後ろには横断幕が掛かってて、そこには『お知らせ』って書いてある。あっ!よく見るとくす玉も用意されてる。何かの祝い事?
「本日はお知らせがございましたので、ゲームを始める前にお時間を頂きます。」
「えっと。そのお知らせとは?」
「EEDの予約発売台数が累計で3000万台を突破いたしました。これも一重にいつも遊んでいただいているプレイヤーの方々と、数々のゲームを開発販売していただいているゲーム会社の皆様のお陰です。ありがとうございます。」
パンパカパーン♪って音を鳴らしながらくす玉が割れる。そこには『祝!販売台数3000万台!』って大きく書いてあるね。
「おめでとうございます!こちらこそいつも楽しませて貰ってありがとうございます。」
やっぱりEEDは人気なんだね。そりゃそうか、だってこんなに楽しんだもの。
ラビィさんの見た目は光の玉だけど、彼女(?)も嬉しそうに揺れながらピカピカ光ってるよ。
「今回我がセカンドライフ社は、ユーザーの皆様に感謝をお伝えするためにとある企画を打ち立てました。」
「その企画って?」
「各種ゲーム会社と共同して、課金アイテムもしくはレアに相当する何かを貰えるプレゼントキャンペーンです!」
「おぉ!!」
セカンドライフ社も太っ腹だね!でもLLOに課金要素って在ったかな?
「実様が遊んでいらっしゃるリバティライフオンライですと、こちらのラインナップからお選び頂けます。」
そう行ってラビィさんが見せてくれたリストには武器や防具がずらーりと並んでる。うん、使いたいけど僕には使えないね。(涙)
「えっとこれの他には無い感じ?」
「スクロールしていただければ他のアイテムが見れますよ。」
良かったぁ。使えない武器貰ってもねぇ。防具は持ってた方が良いかもだけど、着て動ける自信がないもん。
えーっと。おー。回復アイテムとか蘇生アイテムのセットとかも在るんだ。うーん。でも僕にはいらないかな?グランドリーフで回復薬作って貰えばいいし。
えっと他には。食材セット?色んな食材の詰め合わせ何だ。こっちには鉱石セットもある。薬草詰め合わせってもの見つけた。
それに合わせたのか、料理人初級セットとか、鍛冶師初級セット、薬師初級セットなんてのも在る。
でも何で全部初級?初級ってことは初心者って事じゃないの?
でね?一応ね?探してみたんだ。農家セット。結論としてそんな物は無い!種の詰め合わせも無かった!何でぇ?
まぁ無いものは無いんだから仕方ないよね。ここで文句を言ってもラビィさんには関係無いわけだし。
という事で僕が選んだのは、腰に巻き付ける形の茶色い皮鞄。
なんと驚き!この鞄実はインベントリのサイズを3倍にしてくれるアイテムバック何ですよ。今らななんと!記念特価で無料!お得ですねぇ。
これで30種類しか入らなかったインベントリが90種類まで入るようになる。
お得な追加能力としてこの鞄をテイムした魔物や仲良くなった住人に渡すと、渡した相手が色々とアイテムを入れておいてくれるんだって。
鞄と旅人のインベントリが繋がってるって事らしいよ?他の人に渡したら、入れるのは出来ても取り出すのは出来ない安心設計だって。
「喜んで頂けましたか?」
「うん!ありがとうございます。」
「いえいえ。こちらこそ今後もEEDとフルダイブゲームを楽しんでくださいませ。おっと、忘れておりました。リバティライフオンラインは本日更新日となっています。ゲームを始める前に更新内容の確認が出来ますが?」
「さっき調べたから大丈夫。人が増えたから初期位置を増やしたんだよね。」
「他にも初期種族の増加。一部アイテムの仕様変更。新たな武器種の追加も御座いますね。」
種族も増えたんだ!さっき確認した時には気が付かなかったよ。新しい武器の追加かぁ。
ちょっと迷う。僕にも使える武器が在るかもしれないし。
うーん、いや止めとこうっと。僕は農業ギルドのギルド員なんだし、これからも農園を守り抜いていくんだ。
「他に更新は在りますか?」
「他は特にございません。さっそくゲームを始められますか?」
「はい!お願いします!」
「承知いたしました。では良いゲームライフを。行ってらっしゃい。」
僕の意識は再びデータの海の中に飛び込んでいった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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