第36話 僕と学校での噂話と驚きの話
あの後。レトさんバルトさんハントを交えて実際にウェアタイガーを家畜にする作戦を考える事になってしまった。
ヤマブキさん?自分は専門外だからってさっさとギルドに帰っちゃったよ。
もちろん僕は何度も無理だって、嫌だって、出来ないって言ったんだよ?だけど3人共ノリノリで、もう僕が反対しても意味が無い感じだった。
逆にレトさんからウェアタイガーの被害を受けた人達への保証の意味で、畑で働かせて奉仕させた方が良いって説得されちゃった。
討伐して素材にしちゃったらそれはそれで被害の補填になるだろうけども、家畜として管理出来るならハーメルンの戦力も上がるし僕の畑の収穫量も増える。そうすれば街の人達も助かるって。
そこまで言われたら折れるしか無いよね?僕もそろそろ畑を広くしたいし、ウェアタイガーの力を借りられれば実現できそうだもんね。
で、どこに誘き寄せるとか必要な物とかを1日掛けて準備してたらログアウトする時間になっちゃった訳です。
「実〜そろそろ起きなさーい。」
「もう起きてるよー。」
身嗜みは、オッケー。忘れ物は、なしっと。ゲームしてると時間が長く感じるおかげで、学校に持っていく物がちゃんと準備出来てたか心配になっちゃうんだよね。だから忘れ物しないように確認は大事!
「やっばい!朝練遅刻しちゃう!いってきまーす!」
「気を付けて行くんだぞー。」
「アクア!お弁当忘れてるわよ!」
「あわわわわ。ありがと母さん。それじゃいってきまーす!」
アク姉は今日陸上部の朝練に参加するんだ。助っ人も大変だねぇ。
「っと、僕も早く朝ご飯食べなきゃ!」
急いで制服に着替えて、準備したカバンは玄関に置いてっと。
「おはよう!」
「おはよう実。」
「おはよう。ほら実も早くご飯食べちゃいなさい。遅刻するわよ。」
「はーい。いただきまーす。」
今日の朝ご飯はご飯と納豆と味噌汁に鮭の塩焼きとほうれん草のお浸しだった。相変わらずお母さんのご飯は美味しいや。
「実。今週末は予定を空けておいてくれ。」
「どうして?」
「お前が前に行ってた病院の人。アイギスさんだったか?その人から連絡が在ってな。今週末お前を連れて検査に行くことになった。」
あぁ!ゲームを初めてすぐに知り合ったアイギスさん!ルドさんの娘さんだったよね。そういえば僕の事を検査したいって言ってたね。
「解った!特に予定も無いから大丈夫だよ。」
「そっか。お父さんもお母さんも着いていくからな。心配するな。」
「アクアも一緒に行くかもしれないわねぇ。丁度あの子の友達も同じ病院に入院しているみたいだし。」
「そうなの?」
「みたいよ?昨日そんな事を言ってたわ。」
ふーん。お姉ちゃんの友達ってどんな人なんだろう?LLOを一緒にやろうって誘ってた人だよね?もしかして会ってたりして。
「ほら。考え事もいいけど早く食べないと本当に遅刻するわよ?」
「うわっ!もうこんな時間!バクバクバクバクバクバクゴクンッ!ごちそうさま!行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気をつけろよ。」
「忘れ物は無いわね?はいお弁当。行ってらっしゃい。」
「いってきま~す!」
お母さんからお弁当と水筒を受け取って鞄に入れて、僕は急いで学校に向かった。
わいわいがやがや。
「おはよう。」
教室に入って挨拶。でも今日も誰からも返事が返って来ない。うん。いつものことだからもう良いけどね。
でもいつもと様子が違うような?僕の事に気が付いて無視してるんじゃなくて、別の事に意識が割かれて気が付いて無い感じ?
「その話まじかよ。転校生が来るってよ。」
「まじまじ、職員室前で校長と担任が話してるの聞いたんだからマジだって。」
「で、で?どっちなんだよ。」
「女だってよ。」
「まじか!うっひょー!美人だったら俺声かけちゃお!」
「何でも病弱でずっと入院してるらしいぞ?今まで通信教育だったってさ。」
「じゃあどうしてうちの学校に転校してくるんだ?」
「親がこのままだと同い年の友達が出来なくて可愛そうだからってんで、編入させることにしたらしい。まぁ在籍はするが、暫く登校は難しいって話だったけどな。だからあんまり期待すんなよ?」
「お前良くそんな詳しい事情知ってんな。」
「担任の机の下に隠れて聞いてたからな!」
「何でそんな所に居たんだよ。」
「没収されたエロ本を回収しに極秘ミッションを行っていたのだ!」
「全部言ってんじゃねぇかどこが極秘だ!それでどんなエロ本だ?見せろ!」
うん。皆編入してくる転校生の事で話が盛り上がってるみたい。女子はそんな男子を見てやぁーねぇーって冷めた目で見てる。
ガラガラガラ
「皆おはよう。」
「「「「「おはよう。」」」」
そこに英雄君が登校してきた。僕の時と違って、英雄君の挨拶には皆が笑顔で返してる。その後ろからは
「で、で、で?それって本当なのヒデ。」
「おう。親が仕事関係で購入する権利を貰ったみたいでよ。やってみないかってさ。」
「くー。羨ましいぜヒデ。俺も親に頼んでるのに高いからって買ってもらえねぇんだよ。ちょっと貸してくれね?」
「何言ってんだ。個別登録されるから人に貸したりなんて出来ねぇよ。」
「人に貸しても動かないって常識じゃん。塑はそんな事も知らないのぉ?」
「うるせぇ!それくらい知ってるわ!何を隠そう俺も家の手伝いで小遣い貯めてやっと買えるしな!」
「あっそうなんだ。だったら一緒に出来るね。僕もパパンに買ってもらう約束したんだ。」
「おっ。なら一緒に始めようぜ!今日申し込んだら再来週に届くみたいだしよ。」
「僕ちゃんも再来週に届くよ。」
「なら3人でやってみるか。」
3人でふざけ合いながらこっちに向かって来る英雄君達。何でこっちに来るかって言うと、席が近いから。
いつもなら気にされないように視線をそらすんだけど、今日は転校生の話を盗み聞きしてたのも相まって、バッチリ3人の話も聞いちゃった。
「おう。うんちが人の話聞いてんじゃねぇぞ?おっ?」
教室のドアが空いて誰が入ってきたのか確認しながら話を聞いてたから、塑君とばっちり目が合って気付かれちゃった。
「ヒデ。こいつにも自慢してやろうぜ!」
「そうだぜ。こいつうんちだからよ。あぁいうのぜってぇ下手だから、親にも買ってもらえねぇだろうしな!」
「そんなの時間の無駄だろ?」
僕の前に来てニヤニヤ笑うデス君と塑君。英雄君はそんな2人に苦笑してる。
「聞いて驚けようんち!俺達は今度EED買って一緒に遊ぶんだよ!」
「しーかーもー?あの人気ゲームリバティライフオンラインの特別装備同梱版だぞ!限定品で高いやつ!」
「えっ。」
2人の話を聞いて僕は呆けてしまった。だって、あんまり関わりたくない人達が僕と一緒のゲームをするって事だから。
「俺は親に買って貰うだけだしな。自分で買った塑が一番偉いと思うぞ。」
「そんな褒めるなよ。照れるぜ。」
「絶対君じゃ楽しめ無いゲームだよ。どうだい?悔しいだろう?」
すっごいドヤ顔を決めてくる2人。だけど僕はそんなに反応しなかった。だって僕はもうLLO遊んでるんだもん。
だけどそんな反応が気に入らなかったのか、2人の顔がどんどん不機嫌になってく。
「なんだよ。なんか反応したらどうだ!」
「お前みたいなうんちが一生掛けても楽しめないゲームだぞ!何か言えよ!」
そう言われても僕もうかなり楽しんじゃってるもん。仲間も増えたし、知り合いも居るし。農園の主として働いてるし?
僕の反応が思った通りにならなかったのが余計に気に触ったのか、2人が僕に掴み掛かりそうになった時、英雄君が声を掛けた。
「2人共、こいつに構っても時間の無駄だろ?それより向こうでどうやって遊ぶか話しようぜ。」
「そうだね。さすがヒデ!」
「けっ!面白くねぇなぁ。」ガンッ!
英雄君とデス君がそのまま僕から離れてく。塑君は僕の机を蹴ってから2人を追いかけていった。
うーん。これは困った事になったぞ?暫く農園に引きこもってやり過ごすしか無いかな?あの感じだとまだ暫く初めないっぽいし。
僕も遊んでるって事、バレないようにした方が良いよね?
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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