第41話 僕と鍛えたウー太とウェア
時はヤマブキが目覚めた旅人を言葉責めでボコボコにするちょっと前。
ミノルを助けに入ったウー太はウェアタイガーを睨みつけながら対峙していた。
⚠これより別種族の言語を統一します。
「久しいな虎の!」
「お前何!邪魔するな!」
「覚えておらんのか?まぁよい。邪魔をするのは当たり前であろうが。1度ならず2度までも主に手を出そうとしおって!その罪許し難い。今ここで成敗してくれる!」
「何言ってるか解らない!お前邪魔!!」
ウー太の姿が変っていた為に、ミノルを攫った際に遭遇している事を思い出せないウェアタイガー。彼女は眼の前の邪魔者を排除しようと爪を振るう。その爪をミノルを守った時と同じように黒く大きな角で受け止め、弾き飛ばすウー太。
「貴様の爪等効かぬわ!」
「こいつ、力強い!だったら!」
「行かせぬ!」
力では敵わないと思ったウェアタイガーは、自信のスピードを活かしてミノルを確保しようと動いた。
だが、一度そのスピードにやられミノルを連れ去られたウー太が警戒していない筈もなく。
「ふははははは!特訓の成果が早速現れおったわ!」
「なんで立てる牛!!」
「修行の成果に決まっておる!!さぁ力比べと行くぞ!」
ウェアタイガーが走り出そうとするのに合わせて、ウー太は何と後ろ足だけで立ち上がり進路を妨害するように歩いたのだ。
ただでさえ巨体になったウー太が立ち上がると、ウェアタイガーの身長よりも遥かに大きくなる。
ウー太はその巨体を活かしてウェアタイガーの行動を阻害し、そのまま倒れ込むように彼女を捕まえに行く。
ウェアタイガーの方もなんとか逃げようと動き始めるが、ウー太が立ち上がった事に動揺して動きを止めていたのが災いしてウー太に捕まってしまったのだ。
「ぐぅ。重い!!」
「ぬははははは!!そら踏ん張れ踏ん張れ!でなければこのまま押し潰すぞ!」
倒れ込むウー太を抱き抱えるようにして支えるウェアタイガー。ウー太も前足を相手の肩に乗せ、体重を掛けて押しつぶそうとする。
その光景がミノルには、場外を狙うウー太と投げを狙うウェアタイガーに見え、相撲を取っているように写ったのだ。
⚠言語統一を解除します。
「がう!がうがうがう!!」
「ぶもっもっもっもっも。ぶもーっ!!」
なんかウー太楽しそう。流石のウェアタイガーもウー太の体重には勝てないのか、全然持ち上げられてない。それ所か、徐々に膝を地面につき始めてる。
「ぶもっ。ぶもーっ!」
「がうっ!?がうがうがう!」
「ぶんも。ぶもぶもーーっ!!」
えーっと。ウェアタイガーの方はちょっとわからないけど、ウー太の方は降伏勧告をしてるのかな?
このままでは勝てないと解っただろう。その力を失うのは勿体ないから僕に使えるのだ。かな?
それでウェアタイガーが反論した感じ。
何だと!あいつは私のだそんな条件飲めるか!!
かな?うん。なんとなくだけどそう言ってた気がする。少しだけど一緒に居た影響かな?
ピコン♪
あれ?なんか通知が。えっと、システムからチャット?
魔物への理解度が上昇したためユニーク個体ウェアタイガーに対してテイムが行えるようになりました。
個体名ミノルはテイムスキルを所持していません。
個体名ミノルが畜舎を所持している事を確認。上位権限者に誘致に関しての是非を確認中。
・・・・・・・・・・完了。
上位権限者による許可を受諾。ユニーク個体ウェアタイガーを家畜として農園に誘致しますか?
YES/NO
やった!どうしてか分からないけどウェアタイガーを農園に誘えるようになったみたい!これで当初の作戦通りに動けるね!
でも急に許可が出たみたいだけどなんでだろう?この魔物への理解度っていうのが関係してる?ウェアタイガーの言ってる事がなんとなく解ってきたのが原因かなぁ?
「ミノル君どうしたの?考え込んでるみたいだけど。」
「ヤマブキさん。僕ウェアタイガーをテイムできるようになったみたいです。」
「本当なの!?なら早速やっちゃいましょう!」
「はい。そういえばレトさんとバルトさんは?ハントも居ないみたいですけど。」
「あの3人ならウェアタイガーを討伐しようとしてる冒険者を足止めしてるわ。足止め、というか殲滅の方が近いかしら?ほらあそこよ。」
「おらぁ!ギルド職員舐めんじゃねぇぞゴラァ!!」
「命令違反は重罪!よって死罪とする!」
「ミノルの所には行かせない。」
「「「「「ギャーーーッ!!」」」」」
わー。人ってあんなふうに飛ぶんだねぇ。いやここはゲームだからゲーム的表現なのか。
3人が拳を振るうたびに冒険者の人達が面白いくらいに高く飛んで地面に叩きつけられてる。
可愛そうなのが強そうな人達。体力があったり、受け身が取れたりしちゃうから何回でも3人に吹き飛ばされてる。
あの3人、武器持ってないのに良くあんな事が出来るね。僕には到底真似できないや。
「あれで死なないように手加減してるんだから大したものよねぇ。さぁ、向こうは任せて良いわ。ミノルくんは早くウェアタイガーをテイムしちゃいなさい。」
「はい!」
僕が再びウェアタイガーの方に意識を向けると、そこには完全に膝をついて今にもウー太に押しつぶされそうになってる姿が。
「待って、ウー太ストップ!」
「ぶも?」
僕は慌ててウー太を止めたんだけど、もう少しでウェアタイガーを討伐出来そうだからか潰そうとする動きは止めずに僕に返事を返してきた。
「どうしたじゃないよ!今からウェアタイガーを農園に誘うから潰しちゃ駄目だよ!」
「ぶもー・・・。」
「残念って。」
本当に残念そうな顔をするウー太。だけどまだ一切体の力は抜いてない。
もう!修行に行く前にウェアタイガーは農園の防御力を高める為にも家畜として誘うって言っておいたよね?
「修行してウー太は性格悪くなった?」
「ぶもっ!!」
「そんな事無い?本当にぃ?じゃあ彼女を潰さないでくれるよね?」
「・・・・ぶもぉ。」
「ありがとう。後でいっぱいダヅを食べさせて上げるからね。」
ここまで言ってやっと力を抜いてくれたウー太。修行して疲れて帰って来るであろうウー太の為に、畑にダヅを沢山植えてるから全部ウー太に渡しちゃおう。
さて、それじゃシステムさんお待たせしました。ウェアタイガーを農園に誘致します!
「僕の所に来たら甘芋も、果物も食べられるようになるよ。だからさ、僕の農園で一緒に暮らそう?」
「・・・・・・・。がう。ぐるるるるるる。がう!」
「うっ。えーっと、その条件を飲めば良いって事?」
「がう。」
「・・・・。はぁ。解ったよ。じゃあこれからよろしくね、ウェア。」
ユニーク個体ウェアタイガーを家畜にしました。個体名ウェアはこれよりミノル農園の所属となります。
無事に家畜になってくれた。ふぅ。これでやっとウェアタイガー騒動は収まるかな?
「ミノル君?最後の条件てなんのことかしら?後ウェアっていうのは?」
「えーっと。条件っていうのは定期的に僕の匂いを嗅いで寝たいそうです。名前の方は、テイムするって話になった時に考えてました。ウェアタイガーって名前だと長いですし、僕の所に来てくれるなら名前は必要かなぁって。」
色々考えたけど、シンプルなのが一番良いよねってって事でウェアタイガーからタイガーを取ってウェア。これなら覚えやすいよね!
「ふーん。まっ、ミノル君にネーミングセンスが無い事は元々解ってたしね。それを考えたら良い名前なんじゃないかしら?」
ヤマブキさんひどい!チュー太もウー太もいい名前じゃないか!!
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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