第43話 僕と農園の復興とウェアの居る日常

赤落ち達が命乞いをして来た後。ウー太、ウェア、ハントに逃げないように監視して置いて貰って僕はバルトさん達傭兵を呼びに行くことになったんだ。


幸いハーメルンに入る前にヤマブキさんとレトさんを見つけられて、僕の報告を聞いたレトさんがウェアタイガー討伐に集まった冒険者の人達に声を掛けて農園に戻ることが出来たよ。


傭兵ギルドには一部の冒険者の人が伝令に走ってくれてた。僕より足が速いしその方が良いもんね。ほら僕走れないし。


赤落ち達は全員冒険者に連行されていった。後の取り調べで、僕の農園に侵入できたのは旧式の結界装置を使っていたからだった事が判明。


どうも僕の使ってた結界装置って昔突破方法が確立されちゃった奴だったみたい。防犯設備は更新してかないと危ないよって事を学んだよ。


グランドリーフの栽培方法と栽培できる人を確保するって話も本気だったみたいで、彼らが根城にしていた場所には畑みたいな場所まで用意されてたらしいよ?


どうしてそんな事がわかったかというと。ウェアタイガーを討伐出来なかった冒険者がその腹いせとばかりに赤のサソリ団のアジトを襲撃したから。


本当はね?傭兵を待ってから取り調べするつもりだったんだよ?


そもそも農園じゃなくハーメルンに戻ってから本格的に調べるってレトさんも言ってたくらいだし。


だけど、沢山の冒険者(完全戦闘状態プラス興奮冷めやらず目が血走った人多数)に囲まれた赤のサソリ団の人達が、農園から出た所でアジトの事を勝手に話し始めちゃったんだよ。


それでね?レトさんの静止の声が掛かる前に冒険者の人達が暴走。農園に来たバルトさんと傭兵ギルドの人達が慌てて追いかけたら、アジトは壊滅してたってさ。


あっ!死人は出てなくて全員捕縛されたって。人的資源は有効活用がハーメルの基本ルールらしいよ?


先走った人達にはレトさんとバルトさんから雷が落ちたらしいよ。でも盗賊団の壊滅は良いことだから、お咎めは無かったみたいだけど。


赤のサソリ団は王都の方に本隊が居るって頭領が言ってたし、報復に来ないといいなぁ。


で、そんな騒動の中僕は何をしていたかって言うともちろん農園の復興だたよ。


返して貰ったグランドリーフは適当に引きちぎられてて、地下茎も刃物でずたずたにされちゃってたから植え直す事が出来なかったんだよね。


だから1から増やし直すことになっちゃった。しばらくは返してもらった物を半額の値段でヴァカス酒店と薬師ギルドに下ろすことになったよ。


でも復興は思ってたよりも早く終わったんだ。なぜならウェアという人手が増えたから。


ウェアって凄いんだよ?おっきな虎の手をしてるんだけど、手先がとっても器用なんだ。人の手の形に近いからかな?


無理やり引き抜かれた場所を鍬を使って整えてくれたり、残骸を拾い集めてくれたり植え直しも手伝ってくれたんだ。


ウー太もパワーアップして力が有り余っていたみたいで、どんどん土を耕してくれたしチュー太も植え直しを手伝ってくれた。


だからあっという間に復興は終わったんだけど・・・。


パワーアップしたウー太が調子に乗りすぎてグランドリーフ畑以上に畑を耕し始めちゃってね?


ウェアがどんどん畑を耕すウー太に対抗意識を燃やしちゃって。


邪魔だった木々や大きな岩何かをどんどん2人が排除し始めちゃって。


うん。僕の畑は大幅に大きくなりました。僕の購入してた土地の殆どが畑に変わっちゃったんだよ。外周部分には農園を隠すために手を付けて無いんだけどね。


僕の購入した土地って結構広かったみたい。だってドームが建てられそうな位何だもん。


でもね?こんなに広い範囲を畑にしても僕の手には余ります。だって人手が足りてないから。


という訳でせっかく2人に耕して貰った畑だけど、最低限のお世話だけして休ませる事にしました。排除した木や岩はなにかに使えるかもって思ってインベントリに入れてます。


あぁそうそう。畑が広がったことでわかったんだけど、僕の土地にはおっきな池があったみたい。


川に繋がってて、覗いて見たら魚が泳いでたよ。そのうち魚釣りでもして食べてみようかな?


僕の農園の変化はこんな感じ。これでしばらくゆっくり出来ると良いんだけどなぁ。


「がーう!」


「ぶもっ!」


「ちゅーっ!」


「おかえり3人共。森はどうだった?」


「がうぅぅん・・・。」


「そっか。仲間は見つからなかったんだ。」


「ぶもっ!」


「近くには脅威は居ないんだね?ありがとうウー太。」


「ちゅっ!!」


「沢山集めてきたの?後でインベントリを確認しておくね。ありがとうチュー太!」


ウェアが家に来たことで変わった日常の1つに、3匹が魔の森で探し物をするようになったこと。


ウェアは僕の農園の住心地が良いから、育った群れを連れてきたいって言ってるんだ。ただ、ウェアと違って通常種のウェアタイガーだから肉食がメインになるって。


食べ物はどうするの?って聞いたら自分達で狩りをさせるから大丈夫だって。家に来るのは安全な寝床が確保できるのと、あわよくば自分と同じように菜食に目覚める個体が居るかも知れないからってさ。


ウー太はこれまで以上に僕の安全に気を配ってくれてる。森に入るのも、怪しい人や魔物が襲って来ないように見張ってるんだって。


チュー太は森に入って色々な植物を集めてくれてる。中には栽培できそうな果物なんかも在って、いくつかはすでに畑に植えてたりするよ。


アイテムの回収はどうしてるんだって?チュー太には僕がプレゼントで貰った鞄を渡してあるんだ。


ちょこっと形を変えて背中に背負えるようにしてあるんだよね。ヤマブキさんに頼んだらぱぱっとやってくれました。


これで、チュー太が拾ったものが僕のインベントリに勝手に入るようになったよ。


「ミノル。お客さん。」


「えー、また?」


「また。許可が無いと入れない。」


「はぁ。ありがとうハント。ウェア行くよ。」


「がうっ!」


ウェアが家に来て変わった日常のもう1つ。それは家の農園にちょくちょく道場破り?みたいな人達が来るようになったこと。


あれだけ大勢の人に周知された中で、僕はウェアを家族に迎えた。だから沢山の人がユニークがここに居ることを知ってるんだよね。


それで、自分なら倒せる!とか。強力な力を個人が持っているのは危ない!なんて思ってる人達が討伐させろって押しかけてくるんだよ。


幸い新調した結界の魔道具はそんな人達を弾き出してくれるんだ。だけど農園に品物を取りに来る人を威嚇したり、周りを仲間で囲ってウェアを出すまで帰らない!なんて大騒ぎする人まで居る。


騒ぎを起こす人は傭兵ギルドに引き渡してるんだけど、一向に人が減る気配がないんだよねぇ。


だからもうウェアに相手してもらって、ハントにハーメルンに連行して貰ってるんだ。


「やぁやぁやぁ!僕は勇者カマッセ!ここに凶悪な魔物が居ると聞いて討伐に来た!農園の主よ安心するが良い!この僕が来たからには貴方をその巨悪から開放してあげよう!」


「あっ、話を聞かないタイプの人だ。ウェア、やっちゃって。」


「がうっ!」ボグゥッ!!


「ぐへぇっ!」


今回来た人は、なんかもう全身キラキラな人だった。そんなキラキラな人はウェアに腹パンを貰って崩れ落ちてる。心做しかキラキラも収まってるね。


「別に僕はウェアに脅されてるわけでも、捕まってる訳でも無いですよ?だからお帰り下さい。」


「終わった?じゃあ連れてく。」


「ごめんねハント。よろしく。ウェアもお疲れ様。」


「がうっ!!」


これが最近の農園の日常。僕はゆっくり畑の世話をしたいだけなんだから道場破りは勘弁して欲しいなぁ。


まぁ道場破りのお陰でここを害そうとしたらやばいって話も広がってるみたいだし、良いことも在るのかな?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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