彼女がふたりいる俺は義理の家族に答えを求める。

矢地慎哉には、彼女がふたりいる。

ひとりは、クラスでこっそり付き合っている彼女――鴨川優美。
ひとりは、転校により再会した幼なじみであり、初恋の相手でもある彼女――辻葉月。

そんな彼女たちとは交わした約束があり、過去の出来事が原因で約束を破ることができない慎哉は、このままではいけないと思いながらも歪んだ現状を変えられないでいた。

「まだ泣けてる。誰かを想って涙を流せるうちはまともな人間だよ」

最低な選択をして罪悪感に苛まれる慎哉を、今日も義理の家族である矢地透子が励ます。

透子は学校では『谷津透子』という偽名を使っているため、クラスの誰も、彼女である優美と葉月でさえも、慎哉と透子が家族であることを、同居していることを知らない。

優美とキスすれば、葉月とキスをする。
優美とそれ以上…続きを読む