老猟師の話

戦国の世が落ち着いた江戸時代前期、大和の国（添）の山中に暮らす孤独な老猟師が拾ったものは、これまで見たこともない小さな生物（十寸・まそ）でした。
十寸と暮らす中で、人間的な優しさを見つけていく老猟師と里の庄屋親子の前に、代々宮中で秘薬を司る薬師の家柄の若い男が、失われた秘薬を求めて現れます。
＜登場人物＞
八太夫…老猟師。伊賀攻めで滅ぼされた下忍の生き残りの家に生まれ、山奥でひっそり育った。
十寸…（まそ）入らずの山で見つけられた謎の生物。約十寸（30ｃｍ）の大きさで10歳程度の少年の体付きだが、背中に飛嚢を持ち、空を飛ぶ。
ソ…十寸を生み出した謎の生物。植物としての特徴も持ち、地中から物質を濾しとり、創り出す能力を持っている。約三寸（10ｃｍ）の幼い少女の形をしている。
封…（ふう）十寸と…続きを読む