第191話 祈り

「おつかれ、ルーカス」辺りは相変わらず炎で溢れていたが、ルーカスは花を軽く鳴らすと、男性と同じように眠りについた。どうやら久しぶりに力を使ったせいなのか、疲れてしまったらしい。


「残り……何人だ?」結局僕は、局所的にしか人を探すことができなかった。敵が相次いで現れた事を言い訳にはしないが、次期があまりにも不都合すぎた。走っていても時間が足りないのがもどかしかった。


「非難は完了。後は君?」学生帽を被った少年が、僕を見ていた。警察のような組織に所属しているのだろうか?胸に何か、金の腕章がかかっていた。


「多いな」ありえない。こんなにも人に声を掛けられるほど、徳を積んだ覚えはないのだが。僕は即座に世界に入った。一瞬の猶予も痕跡も残さずに。学生帽の彼には怪しまれてしまっただろうか?いや、あの場にとどまるほうがよほど危険だということは火を見るより明らかだった。あの町にはもう人は居なと信じたい、彼の言葉が嘘でないことを僕は祈った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る