第24話 残し物

 エミリー&リンダは、言い合いに疲れたせいかお互いに喋らなくなっていた。


「もう少しで遺志の村に着くから、そこまで頑張ろう。エミリーもリンダも、そんなに不機嫌にならないでくれよ。」


「別に不機嫌になんてなってません。それより重い荷物ばかり持たせてしまって、本当に大丈夫ですか?」


 ゆっくりと首を縦振りつつ「大丈夫。」と僕が返事をすると、エミリーが少し笑ったような気がした。やっぱり暫定人類最強エミリーさんだ。


「リンダも大丈夫?結構歩いたと思うし、疲れてるなら休もうか?できるだけ無理はしない方が良い。」


「朕の事は気にしなくてもいい。それと君は誰かの心配をする前に、自分の心配をした方がいいんじゃないかな。」


 それもそうだが、リンダが僕を気遣った言葉を言うなんて・・・・・・リンダはリンダなりに、僕の事を考えてくれているのかもしれない。


「明かりだよ!ノア、エミリー。村が見えるよ!これでやっと、やっとふかふかのベットで横になれる!早く行こう。」


「ああ。やっと着いた。」














「お疲れ様じゃったな。もっとかかるかと思ったが、まさか2日で戻って来るとは・・・・・・大したものじゃ。」


「それほどでも。っと言いたい所だがかなり疲れたな。早く休みたい。」


 久しぶりの村は輝いていて、全てが美しい。しかしそんな僕の心情とは裏腹にはしゃぐ村人達はこちらに全速力で走って来た。


「勇者様がお帰りになったぞッ村の者総出で勇者様を手厚くお迎えに上がれッ。」


「エミリー、リンダ。今すぐ逃げないとまずい。」


 大勢の村人に押しつぶされそうになりながら、帰ってきたのだと改めて思った。


「勇者様達。お帰りなさいませ!」


「ただいま。」


 僕だけじゃなくて、エミリーとリンダも一緒に返事をしていた。


 「ゆ・う・しゃ。」


勇者コールが鳴り響く中、颯爽と全速力で場を立ち去る。


 嬉しさと安堵が混じったようなため息が出そうになるが、それをこらえ僕は、精一杯の笑顔でその場をやり過ごした。


 宿を探す片手間、辺りを見渡した。


 エミリーとリンダが側に居る。まだ少ししか関わりが無いけれど、愉快で明るい村人たち。最初はどうなるかわからなかったけれど、ここまで来ることが出来て本当に良かった。


「ありがとう。エミリー。リンダ。」


「こちらこそ、本当にありがとう御座いました。(ありがとう!)」


まだまだ旅は続きそうだ。





















 




ここまでで第一章が終了です。ここまで、本当に沢山の応援をありがとうございました。

不定期での投稿になってしまい、読者の皆様には頭が上がりません。ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。




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