第161話 対策

「付いてこられよ。」老紳士は僕とは反対方向に歩き出した。老紳士が向かった方向には恐らく、老紳士の妻の屋敷がある。そこには大量の痕跡と、おびただしいまでの時間の積み重ねが眠っている。老紳士には、今回の敵に対する具体的な策があるのだと、僕は思った。老紳士の使うこの花の世界のような魔法を、老紳士以外の人が使っているところを僕は見たことがない。そのことから、この魔法は所有者が少ないか本人に由来する特殊技能であるという事が予想できる。


「敵の魔法。」僕は歩きながらぶつぶつ唱えた。敵の魔法がもし老紳士のように他者を引きずり込める能力であったのならば、なぜすぐに僕を閉じ込めなかったのだろうか?もしかして、僕を閉じ込めなかったのではなくて、閉じ込められなかったのだとしたら、僕にも十分勝機はある。けれどそれがすべて僕を誘い出すための罠で、あえて道を迷わせるだけの魔法を使ったのかもしれない。敵の実力は未知数、確実に勝つ方法を僕は知らなければならない。

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