第61話 昼時

 何か食べたいなと思い、僕は歩いた。けれど、道を真っすぐ行っても中々露店には辿り着きそうもない。不老不死と言えど、お腹は空いてしまう。早く見つけたいものだ。


 そう思いながら歩いていると、僕はとある声を聞いた。それは元気な声で、妙に張りがあった。「串焼き。」文字数にして約四文字。ただその単語に秘められた思いは計り知れない。 


「一つ下さい。」僕はその串焼きを一つ買った。この世界の串焼きは、どうやら肉だけらしい。ネギや皮は見当たらない。そうだよな。と思いつつ、僕は頬張った。


「上手い。」心なしか店長が微笑んだような気がした。この串焼きには、タレになにか秘密があるのだろうか?仮に聞いたとしても、企業秘密に匹敵しそうな重要な情報だろうから、教えては貰えないだろう。


「毎度あり。」美味しかった。リンダの料理もこの串焼きも、心に刺さる一品だった。是非またもう一度、味わってみたいものだ。僕は串を収納すると、露店から道に目標を変えた。





 

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