第125話 強敵
「隙が……無い?」僕はまだ、ティランと戦っていた。ティランは体当たりを避けられることを想定していたように、直ぐに僕の方に向き直った。体当たりは硬直が大きそうな技だと思っていたけれど、そうでも無いらしい。実際に眼の前にいるこの魔物、ティランはほぼ後隙を見せずに僕と相対している。
「ウ。ド。」少々間の抜けた声を発したかと思えば、ティランは消えた。そう、確かに消えたように見えたのだ。けれどそうでは無い。ティランは、僕が目視できないくらい、早く動いた……のでもなく、瞬間移動したのだ。さて、次はどこに出てくる?僕の背後か、隙を見ての正面か、どちらにしろ油断できない。
「嘘。」地面が割れた。正確に言うなば、僕の下の地面が裂けたのだ。かつての平面は跡形もなく消え去り、僕を飲み込む。あっけなく僕は、落とされてしまった。叫ぶ間もなく、落下独特の浮遊感に襲われる。昔から不得意な違和感に襲われて、僕は気持ちが悪くなった。だから、楽して稼ごうなんて思わない方が良かったのかもしれない。
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