盲目勇者〜得た物は不老不死〜

椋鳥

第一章 『希望と絶望』

第1話 始まりの光

・・・・・・暗い?


いや、目を閉じているだけか


目を開けようとした時、僕の意識は闇へと沈んだ。


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 僕、雨息汎地の父さんは、出張先の交通事故で意識不明の重体に陥った


 直ぐに病院に搬送されたが、僕が着いた頃にはもう・・・・・・帰らぬ人となっていた


 あまり関わりのなかった父親だったが、今思えばもっとよく話した方が良かったのかもしれない


 後悔ばかりは嫌だけど、後悔しか無い。そんな人生だった


 交通事故の原因のひとつは、1人の会社員の仕事の徹夜による過労が原因だそうだ


 その人には家族が5人もいたし、会社自体も小さく経営悪化でかなり余裕が無かった


――分からない。


 その後、僕の事を育てる為に、母は働き始めた。専業主婦だった母は、仕事に慣れず、辛い思いをしていた。それでも母は働き続け、何とか生活をする事が出来た


――しかし、続きはしなかった。


 母の体に癌が見つかった。日に日に母は、体が衰弱していく――いや、衰弱している事に今まで気づいていなかっただけかも知れない。


――僕は無力だった


 それでも母は諦めなかった、癌と闘うことを。



 ――生きることを。



 僕といる時はいつも母さんは笑顔で話してくれた。釣られて笑っていたけれど、今の母の笑顔を見るのは辛かった。


 手術当日。その日も母さんは微笑んでいた。


「頑張って来るね。」


 そう言って、病室を後にして行った。手術が成功する以外の可能性なんて、考えたくなかった


――手術は失敗。


 僕はそのまま、エスカレーター式に施設に入れられることになった。


 その時僕は、別に何も感じていなかった。両親がいなくなった事に比べることすら出来無いほど、悲しみや憎しみ、恨みなどは一切無かった。


 もし人格が歪んだのなら、恐らくここだ


 施設での生活が始まり、直ぐに僕はいじめられた。


 虐めのきっかけなんて、些細なことだった。僕が施設に来た時に何かを言われて、それを無視した。


――それだけだ。


 無視した僕が悪いとしても、いじめはだんだん酷く、そして根深くなっていった。


 運動靴を盗まれ、ノートに落書きをされるのが日常。施設に帰っても同じ事の延長線上の事ばかり。まあ、大抵の事はなるとかなったのでよかった。


 しかし、通学用の鞄に落書きされた時は大変だったのを、今でも覚えている


 その後も同じ様な日々を過ごし、僕は無事18歳を迎えることとなった。


 施設で過ごした6年間、一定数暴力を振るって来るモブ以外は、誰も干渉してこなかった。


 もし次があるのなら、「友達」というものを作ってみたいものだ


――いつかは。


 施設から出た3日後、僕はトラックに跳ね飛ばされた。   


 短い人生で後悔は無いが、欲を言うなら、もっと色んなことをしたかった。


――死にたくない。


 そんな、長い様な短い様な回想の後で、僕の目に光が差した。




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どうも、作者の椋鳥です。


私が作品を書くのは初めてなので、誤字脱字等ありましたら、コメントに書いていただけると、とてもありがたいです。


これからも頑張るので、応援、よろしくお願いします。

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