概要
やがて引き継いだはずの孫だったけれど、彼の料理に対する姿勢は複雑なものだった。
これは『居酒場 源』に集まる人と妖怪の物語。
***
こちらは以前から掲載している「想い出の味(https://kakuyomu.jp/works/1177354054892738080)」という短編とKAC2021に参加していた短編を修正して組み込んで、後半を新たに加筆しました。
KAC2021にて発表した短編にはサブタイトルに「お題:○○」とついています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!今は食べることができないあの味を、もう一度食べることができたなら——。
人は生きている間にたくさんの経験を積みます。それが嬉しいことだったり、悲しいことだったり、楽しいことだったり、辛いことだったり……。思い出となって私達の記憶に刻まれていくのですが、忘れられない一番大切なものが誰しもあるはずです。
それが、二度と食べられない料理と共に記憶されていたら。もう一度食べたいと思いませんか?
その願いを叶えてくれるお店があるのです。『居酒屋 源』。本作は、想い出の味を出してくれる不思議な居酒屋と、ふたりの店主に関わる人達の物語。
時々しみじみ時々ほっこりする想い出の味にまつわるエピソードは、一話一話、一字一句じっくり味わって読んでほしいものばかり。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!赤ちょうちんのその向こう。『おばけ居酒屋』今宵のご注文は——?
とある繁華街に「おばけ居酒屋」と呼ばれる古びた店がある。
そのお店やお客さんにまつわる温かいエピソードが綴られていく、連作短編形式の物語。どこから切り取って読んでも、まるで味のしみたおでんのように読者の心をじんわりと温めてくれる素敵な物語です。
居酒屋「源」というお店は、夜な夜な人や人ではないものが集まる知る人ぞ知る……というお店。古びた外観のその店は、どうやら店主一人で切り盛りしているようで——。
常連になると「思い出の味」が食べられる。
そんな噂を聞きつけて集まる人たち。思い出の味とは、もう食べられなくなった懐かしの味。多種多様なエピソードと共に綴られ提供されるそれは、豪華…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読んだ後、ちょっぴり人に優しくなれる。そんな温かい物語です
地方都市の繁華街には「おばけ居酒屋」と呼ばれる料理屋がある。もう食べられなくなった「想い出の味」を食べさせてもらえるというその店に集まるのは、様々な人の思い。今日も店主は、味の染みたおでんと共に想い出の味を客に振る舞うのだ──
前半は「想い出の味」をテーマにした連作短編形式で物語が進んでいきます。「想い出の味」というのは、言い換えればもう食べられなくなってしまった味のこと。亡くなってしまった大切な人との思い出と共に提供されるお話は、まるでお出汁染みた大根のように読者の心をじんわりと温めてくれます。私も読んでいるうちに、祖父母との思い出や子供の頃の懐かしい記憶を思い出し、何度も過去の記憶に思…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そのお店では、常連になると「思い出の味」が食べられるという
赤提灯の灯るその店は「おばけ居酒屋」と呼ばれ、人知れず噂にはなっている、おでんのおいしいお店です。
厳つい顔の店主が作るおでんは絶品。その味に魅せられて通うのは、どうやら人間だけではないようで……。
1話ごとの短編を繋げて読んでいくタイプの長編作品。
ひとつの「思い出の味」に宿る彼らの「思い出」は、優しかったり切なかったり。そのひとつひとつは、キラキラと輝く薄く色付いた宝石のよう。
彼らの思いをのぞき見るたびに、胸がじーんとしたりほっこりしたりして情緒が不安定!というか毎回心に響きます!
何というか、昭和の人情味溢れるお話だなぁと強く感じました。
おでんのように、こころにじぃぃんと沁みる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美味しいおでんに誰かの「想い出の味」。妖たちも訪れるそのお味は?
北の街の繁華街にひっそりと佇む居酒屋「源」。常連になると、もう食べられなくなってしまった『想い出の味』を食べさせてくれるというのですが、その料理に惹かれてやってくるのは人間ばかりではないのです。
しっかり煮込まれた大根のおでんに、梅ジャムせんべい。しみっしみのお揚げに包まれた五目稲荷。店主の源さんが作る、とにかく食べたくなってしまう美味しそうな料理の数々と、かわいい子ぎつねにほのぼのしてしまうのですが、やがて店に大きな変化が起きて——?
時に温かく、時に切ない誰かの「想い出の味」と、やがてそれをめぐる店と若者たちの、迷いや恋。さまざまな人の想いが絡み合い、妖怪たちまで紛れ込んで賑や…続きを読む - ★★★ Excellent!!!思い出の味を出す居酒屋とそこに集う人々の物語。心が揺らいで動く。
短編だったものをオムニバス的に再構成した作品。そのため一話ごとに読み切り感覚で楽しむ事ができますし、二代目店主に関わる物語が大きな話の筋として流れていくため、この本筋を追えばしっかり1本の長編を読んだ満足感。
飯テロ要素も満載です。
おばけ居酒屋と噂されるのはその見た目からだろうけど、実際に幽霊や妖怪たちも集まっている、とある町の小さなオンボロ居酒屋が舞台。
妖怪たちの力のみなもとは、人の感情の起伏のエネルギー。哀しみや喜びのほか、驚いたり怖がったりすることも糧になる様子。居酒屋には人の悲喜こもごもが集うから、妖たちもそれに惹かれているのかと思いきや、ここに来る彼らの目当ては、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しい記憶も苦い後悔も、想い出の一品に。不思議な居酒屋、今宵も営業中。
北国のとある場所にひっそりと建つ、「おばけ居酒屋」。
木造平屋建てで暖簾も赤ちょうちんもボロボロな、まるでお化け屋敷のようなその居酒屋には、人間だったり妖だったり死人だったりと色々な客がやって来ます。
今宵のお客さまは、ふさふさ尻尾がチャーミングなキタキツネ。丸椅子にちょこんと腰掛け、戸惑う店主に「だいこん」を注文し――。
と、ほっこりエピソードから始まるこの物語、連作短編の飯テロあやかしミステリー風味という、とても面白いテイストで描かれております。
居酒屋らしく、一番人気のメニューは出汁の染みたおでん鍋。しかしこの店の常連になると、もう食べられなくなった懐かしい『想い出の味』を…続きを読む