おばけ居酒屋の裏メニュー

作者 ながる

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★★★ Excellent!!!

赤提灯の灯るその店は「おばけ居酒屋」と呼ばれ、人知れず噂にはなっている、おでんのおいしいお店です。
厳つい顔の店主が作るおでんは絶品。その味に魅せられて通うのは、どうやら人間だけではないようで……。

1話ごとの短編を繋げて読んでいくタイプの長編作品。
ひとつの「思い出の味」に宿る彼らの「思い出」は、優しかったり切なかったり。そのひとつひとつは、キラキラと輝く薄く色付いた宝石のよう。
彼らの思いをのぞき見るたびに、胸がじーんとしたりほっこりしたりして情緒が不安定!というか毎回心に響きます!

何というか、昭和の人情味溢れるお話だなぁと強く感じました。
おでんのように、こころにじぃぃんと沁みるあたたかいお話です。寒い季節にはぴったり!


個人的に超絶お勧めしたいのは8話の「21回目の正直」と、16話の「バレンタインキス」です!
私こういうのホントにダメ……すき……。
あと後半の店主の淡い恋模様も好きです。
ぜひ8話まで読んで欲しい!
8話が好きなら16話もきっと好きなはず!!です!!

★★★ Excellent!!!

 北の街の繁華街にひっそりと佇む居酒屋「源」。常連になると、もう食べられなくなってしまった『想い出の味』を食べさせてくれるというのですが、その料理に惹かれてやってくるのは人間ばかりではないのです。

 しっかり煮込まれた大根のおでんに、梅ジャムせんべい。しみっしみのお揚げに包まれた五目稲荷。店主の源さんが作る、とにかく食べたくなってしまう美味しそうな料理の数々と、かわいい子ぎつねにほのぼのしてしまうのですが、やがて店に大きな変化が起きて——?

 時に温かく、時に切ない誰かの「想い出の味」と、やがてそれをめぐる店と若者たちの、迷いや恋。さまざまな人の想いが絡み合い、妖怪たちまで紛れ込んで賑やかですが、最後はほっこりしっとり幸せな気分にさせてくれる物語です。

 落ち着かないこんな日々だからこそ、この物語を通して子供の頃や恋人との「想い出」を思い出し、さまざまなことを感じる方も多いのでは?

 そんなふうに感じられる、この冬、ぜひ読んでいただきたい一作です!

★★★ Excellent!!!

 短編だったものをオムニバス的に再構成した作品。そのため一話ごとに読み切り感覚で楽しむ事ができますし、二代目店主に関わる物語が大きな話の筋として流れていくため、この本筋を追えばしっかり1本の長編を読んだ満足感。

 飯テロ要素も満載です。

 おばけ居酒屋と噂されるのはその見た目からだろうけど、実際に幽霊や妖怪たちも集まっている、とある町の小さなオンボロ居酒屋が舞台。

 妖怪たちの力のみなもとは、人の感情の起伏のエネルギー。哀しみや喜びのほか、驚いたり怖がったりすることも糧になる様子。居酒屋には人の悲喜こもごもが集うから、妖たちもそれに惹かれているのかと思いきや、ここに来る彼らの目当ては、美味しいおでんとお客が欲する【思い出の味】。
 思い出になるぐらいだから、本来ならもう食べられないはずのそれ。

 この思い出の味にまつわるエピソードとそれにまつわる人々、そして店の常連たちの物語が絡みあい、複雑で沁みる話になっています。

 美味しさだけではない感動に、心を揺さぶられてみませんか。

★★★ Excellent!!!

 北国のとある場所にひっそりと建つ、「おばけ居酒屋」。
 木造平屋建てで暖簾も赤ちょうちんもボロボロな、まるでお化け屋敷のようなその居酒屋には、人間だったり妖だったり死人だったりと色々な客がやって来ます。
 今宵のお客さまは、ふさふさ尻尾がチャーミングなキタキツネ。丸椅子にちょこんと腰掛け、戸惑う店主に「だいこん」を注文し――。

 と、ほっこりエピソードから始まるこの物語、連作短編の飯テロあやかしミステリー風味という、とても面白いテイストで描かれております。
 居酒屋らしく、一番人気のメニューは出汁の染みたおでん鍋。しかしこの店の常連になると、もう食べられなくなった懐かしい『想い出の味』を提供してもらえるかもしれないという噂があるのです。その真相は――というほどには引っ張らず、どういうわけかはすぐに明らかになりますが、途中から店の事情も変化します。
 その辺りから常連さんたちの解像度も上がってゆき、お店を狙う(?)怪しげな影もちらついたりなんかして……?

 可愛いきつねっ子や妖艶な姐さんなどの妖たちもいます。思惑絡まる人と人外の人間模様を味わい深く鍋で煮込んだ物語。ぜひご一読ください。