美味しいおでんに誰かの「想い出の味」。妖たちも訪れるそのお味は?

 北の街の繁華街にひっそりと佇む居酒屋「源」。常連になると、もう食べられなくなってしまった『想い出の味』を食べさせてくれるというのですが、その料理に惹かれてやってくるのは人間ばかりではないのです。

 しっかり煮込まれた大根のおでんに、梅ジャムせんべい。しみっしみのお揚げに包まれた五目稲荷。店主の源さんが作る、とにかく食べたくなってしまう美味しそうな料理の数々と、かわいい子ぎつねにほのぼのしてしまうのですが、やがて店に大きな変化が起きて——?

 時に温かく、時に切ない誰かの「想い出の味」と、やがてそれをめぐる店と若者たちの、迷いや恋。さまざまな人の想いが絡み合い、妖怪たちまで紛れ込んで賑やかですが、最後はほっこりしっとり幸せな気分にさせてくれる物語です。

 落ち着かないこんな日々だからこそ、この物語を通して子供の頃や恋人との「想い出」を思い出し、さまざまなことを感じる方も多いのでは?

 そんなふうに感じられる、この冬、ぜひ読んでいただきたい一作です!

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