4-2 天かける縁
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王城へ向かう道は多くの星々で混雑していた。皆、先ほど放たれた強烈な光の発信源へと向かっているのだ。いや、正確には発信源となった星のもとへ向かっている。光は上空、宇宙の遥か向こうから届いていた。この世界に住まう星の精自身が光を放っていたわけではない。
水晶で
街路樹の如く整然と並んだ
「こっち」
アルテミスが僕の手を引き、星々の間を
「抜け道があるんだ」
僕は何も
僕が視線を向けると、アルテミスは真剣な表情のまま口許だけ
「橋を
アルテミスは
手のひらの宇宙が不意に輝き出した。
「キミの
アルテミスが両手を放すと、先ほどまで液体だったそれは手のひら大の光球となって宙に浮かび上がった。足元で風が渦巻く気配を感じる。眼前の
僕が驚愕のあまり目を見開く中、アルテミスは水面が光球へと到達する瞬間、それに触れた。すると、水面はまるで逆流する滝のように勢い良く空へ昇り、王城の
息を呑んだ。呆然と口を開いていた、と言ったほうが適切だろうか。
「行こう。キミの想いを無駄にしないためにも」
僕はアルテミスに続いて橋に足を掛けた。これがレナへの想いだとすれば、僕は彼女に対し強い執念を持っているということになる。いや、執念というよりも敬愛の念か。僕は筋が通った彼女の考え方に納得し、一方的な好意すら抱いていたのだ。
アルテミスの行為はまさしく水先案内人と呼べる所業だった。僕を望む場所へと
人間も星も変わらない。それが皮肉のようでいて、命ある者の『真理』のように思えた。
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