5-6 星砕きの果てに
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広々とした空間に出ると、たちまち僕たちは不利になった。先ほどのミサイルは既定の軌道を辿っていたけれど、次は誘導ミサイルが飛来してくるかもしれない。障害物がなければ、
不意に僕たちは影に飲み込まれた。まるで太陽を雲で
人影があった。周囲に無機質な物体を
トーチャーの周囲には物々しい物体が浮いていた。兵器という言葉が良く似合う、平和の対極に位置する機器だった。ミサイルの発射台を思わせる細長い
荒くなる僕の呼吸を落ち着かせるようにグレンがこちらを
「随分なご挨拶だなァ、卑怯者」
「コミュニケーションの基本は
グレンの挑発にもトーチャーは冷静に対応する。冷徹、とでも言うべき冷ややかな眼光だった。先ほど
「街は見えるな?」
眼前の敵を
「……はい」
不安げに返事する僕に、グレンは背中越しにサムズアップを見せる。
「いつもの場所で落ち合おうぜ」
「……どこですか?」
僕の呟きは、しかし一足踏み込んだグレンの動作音にかき消された。トーチャーの眼前にまで迫ったグレンが、低い体勢から相手の
トーチャーはグレンの攻撃を
「使えよ。可愛い可愛い我が子が造った、
「我が子を侮辱されて平気な親がいるでしょうか」
いや、と呟いてトーチャーが右手を広げ、グレンへと突き出す。呼応する形で
「いるはずがありません」
その声と同時に光が弾けた。
僕は目が眩み、視界が薄暗い
「グレンさんッ!」
僕は
視界を取り戻した時、グレンは先ほどと同じ場所に立っていた。両手を身体の前に突き出し、肩で息をしている。手のひらに分厚い水晶を
両手を下ろすと同時に水晶は光となって
「それは挑発ではなく後押しです」
気付くとトーチャーはグレンの背後に回っていた。先ほどの照射は
背後から蹴り飛ばされ、グレンが二回、三回と短い芝の上を転がる。地に手をつき、受け身をとって体勢を立て直すものの、背後では既に直方体状の装置がグレンに照準を合わせていた。先ほどが溶鉱炉だとすれば、今度は液体窒素だ。周囲の空気を冷やし尽くし、もくもく白煙を吹き出している。
次の瞬間、装置の先端から青白い冷却光線が照射された。瞬時にグレンは左方向へと跳躍し、攻撃を
「ジブンは我が子のために闘っているんですから」
グレンの行動を読んでいたのだろう、先回りして跳躍していたトーチャーが彼の頭へと
「どんな汚名も
トーチャーが遠い星々の光を背に受け、グレンの頭上から落下する。その足には水晶が
僕は
グレンを
地面を転がる最中、僕が目撃したものは右腕を叩き折られるグレンの姿だった。
「ッ……!」
僕は息が止まった。決して痛々しい光景ではなかった。大車輪の要領で身体を回転させ、勢いをつけたトーチャーの
グレンは苦悶の表情を浮かべつつも、攻撃後に大きな隙を残したトーチャーへと残された左手を振りかぶった。トーチャーの顔面へと打ち付けられるその瞬間、彼の左腕は溶鉱炉ビームの
「何、これ……」
呆然とする僕の目の前で、トーチャーは
「さようなら――兄弟」
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