第4章
4-1 最期の煌めき
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恒星の一生は生まれた時の質量によって決まっていると言われています。例えば、太陽は
大質量の恒星は
魂がすり減ってしまえば、生きているとは言えなくなります。脳死の人間は生きているのか死んでいるのか、様々な議論がなされていますけれど、僕個人の見解としては生きていると思っています。意思が内側に閉じ込められた状態、隔絶された空間に生きている状態だと考えているからです。僕にも同じような経験がありましたから……正気を疑われてしまいますけれどね。
本音を言えば、僕はそう信じたいだけなのです。人の死も星の死も認めたくないのです。看取りたくないのです。目の当たりにしたくないのです。
遠い、遠い、僕たちがまだ知らない恒星の最期を、僕は――看取りました。
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それは突然のことだった。世界を包み込む
音は無かった。ピカッとかキーンとか鳴ったように思えたのは僕の先入観だ。あるいは、視覚で処理し切れない情報を神経経由で聴覚へと伝え誤作動させたのかもしれない。
腕で
「離れないで」
フラフラとする身体を支えたのは左手首を握り締める冷たい手だった。女性のものを思われる細く、
「一体、何が……」
次第に視界がクリアになってきた。徐々に
隣の星を見つめる。いまだに僕の左手首を握り締めている少女――アルテミスは、ローブの下から空いた手を持ち上げ耳元に当てる。何事か考えている様子だった。
黙って見ていると、不意にアルテミスは僕の手を引いて足早に歩き出した。僕は前傾姿勢になりつつ何とかバランスを崩さずについてゆく。
「な、何ッ……⁉」
「
「
単語だけは聞いたことがある。けれど、その実態はわからない。
道行く星々の間を抜け、王城へと向かう。都会のビルよりも高く目に映るその建造物を見上げると、展望台の辺りに小さな光が
脳裏に
「レナが死んだ」
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