第79話 ばあちゃん
わたしのばあちゃん。
背が小さくて、まん丸体型。
小さい頃はよくばあちゃんの家に行った。
正月には必ずお餅つき。
ばあちゃんの家で食べるいろんな味のお餅、
すごく美味しかった。
何かで味付けした大根おろしをお餅に和えて
食べるやつ、美味しかったな。
ばあちゃんは、とにかく働き者。
家にいても、森のような広い庭を手入れしたり、
離れに借りてる畑で果物、野菜を育てたり。
じっと座ってる印象はない。
ばあちゃんの家で出されるおやつ、普段スーパーで見かけないような謎のお菓子があったな。
飲み物はだいたいヤクルト。
ぶっきらぼうだから、たくさんお喋りした記憶はない。
小学生になってからは忙しくて、ばあちゃんの家に行く機会は無くなった。
それから自分が大人になって、オバサンと呼ばれる年齢になっても会いに行くことは無かった。
振り返れば、自分ひとりでばあちゃんの家に行ったことは無い。
親に行くぞ〜と言われてついていってるだけ。
そんな感じ。
私は会うことは無かったが、両親はちょくちょく会っていたらしく、ばあちゃんが90歳を超えたころ、だんだん痴呆がでてきて、迷子になって探しに行ったりなどあったらしい。
そんなこともあり、あんなに元気で達者なばあちゃんも老後施設に入居したと聞いた。
そこからしばらくは、お喋りしたり、食べ物もしっかり食べて、施設の方と楽しく過ごしていたようだ。
両親からそんな話を聞くたびに、いつか会いにいかないとな。と思っていながらも、会いに行かなかった。
それからしばらくして、ばあちゃんが103歳で亡くなったことを聞いた。
私は複雑な気持ちになった。
小学生になってからは疎遠になってしまっていたし、ばあちゃん子でもなかった。
だけど、ばあちゃんのことは好き。
痴呆で自分のことなんてわからなくても、会いに行けばよかった。
元気な頃の記憶しかないから、痩せて弱ってしまったばあちゃんを見るのが怖かった。
でも行けばよかった。
後悔しても遅い。
だったら今できることをしようと思い、ばあちゃんが入るお墓の掃除をしに行った。
納骨まで、自分にできることをしよう。
そう思った。
ばあちゃん、ありがとう。
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