第9話 早朝の風景

 ここ数日で急に寒くなって、5時だとまだ薄暗かったりする。


 こんなに早い時間から起きてる人なんて、ほとんどいないだろうな。

 と思いながら犬の散歩の用意をする。

 犬と玄関の外に出ると、薄暗く人もいない。


 そんな中、住宅街を歩いているとすでにぽつぽつと灯りがついている家がある。

 家の前を通り過ぎると、キッチンと思われる場所から朝ごはんの支度をしている音が聞こえてくる。


 わたしは想像する。

 家族のために誰よりも朝早くから起き、朝ごはんの支度をするお母さん。

 もしくは、自分のために早起きして朝ごはんを丁寧に準備する一人暮らしのご老人や若者。


 そんなことを想像しながら歩くのが好きだ。

 ぽつぽつと見える家の灯りもなんだか心をほっこりさせる。


 外を歩いている人影はなくても、それぞれの家の中で今日一日の生活が始まっていることを感じるとなぜかほっこりした気持ちになる。


 庭先を静かに、丁寧に掃いている人。

 誰もいない公園のベンチや健康器具を丁寧に拭いている人。


 そんな人たちを見ると、優しい温かい気持ちになる。

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