第85話 おじいさんとわんこ

仕事から帰り、私はすぐにわんこの散歩に行くのが日課だ。


散歩に行くと、いつも会うおじいさんとわんこがいる。


おじいさんは、会うたびにいつも同じようなユニフォームを着ている。

季節を問わず、いつも見るたびにランニングウェア。

それも、タンクトップに短パン。

推定80は超えていそうなおじいさん。

少し背中が曲がっていて、歩幅も小さく歩みもゆっくりだけど、年齢のわりにしっかりとした歩みだ。


そのおじいさんの傍らには、老犬の小型犬。

おじいさんも老犬さんも、歩くペースがぴったり。

お互い老いて、わんこの歩みものんびりだ。


私と私のわんこは、いつもおじいさんと老犬さんに挨拶をする。


うちのわんこはまだ若い。

そして犬との交流が苦手だ。

老犬さんがうちのわんこに挨拶をしようと近づくも、うちのわんこは後ずさり。


それをみたおじいさんは、毎回うちのわんこに

「ほ〜れ、大丈夫だから。待ってるから匂いをかいでごらん。ほ〜れ。」

と優しく話しかけてくれる。


がしかし、うちのわんこは何度会っても犬同士の挨拶ができず後ずさり。


老犬さんはゆっくりした歩みで近づいてくれるというのに。


私はこのやりとりの度に、おじいさんに言う。

「いつもありがとうございます。」


そう言うと、「ははは。またね〜。」と言ってくれる。


おじいさんも、老犬さんも長生きしてほしい。

と会うたびにいつも思う。


また明日も会えますように。

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