第21話 戻ってこない感情

 昨日夕飯を食べていたとき、

突然子どもが質問してきた。


お母さんて、あまり笑わないの?



このとても短いシンプルな質問に、なんて答えたらいいのか一瞬考えてしまった。


なんて答えるのが正解なんだろう。

いや、正解も間違いもないか。

思うまま、子どもにわかりやすく簡単な言葉で答えよう。



お母ちゃん、笑うのが苦手なんだ。


正確に言うならば、気がついたら心から笑う感情がどこかに行ったまま、戻ってこないと言いたいが、話がややこしくなりそうなので、【苦手】と表現した。



子どもは、「へぇー。そうなんだ。」

と言うと、それ以上何も聞いてこなかった。


どうしてそんな質問をしたのか尋ねてみた。


すると、

「なんとなく聞いてみたかっただけ。」


と、小学校低学年とは思えぬ大人な返しをしてきた。




何を見て面白くて

何をしてると楽しくて

どうしたら、自然とついつい腹の底から笑っちゃった。

という感情が湧くんだろう…


小さいころはバラエティ番組を見て、真似してゲラゲラ笑えるときがあったのに。



やっぱり自分は何か変なのかな。

自分のことなのに、自分がよくわからない。

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