第60話 驚愕の事実

 夫はよく人の話を聞いていない。

特にテレビを見ているときなど、こちらがかなり大きな声で話しているのに、相づちひとつもうたず、顔はテレビを向いている。


こりゃ話を聞いていないのだと解釈し、会話を諦める。


何かに集中している時は特に周りの声が聞こえてない。


そう思っていた。


がしかし!

そうではなかったことが発覚!!!


夫がテレビを見ているとき、わたしはいつものように大きめの声で話しかけた。

いつものように、顔は画面を見つめ、相づちもない。


会話を続けるのをやめ、かなり小声で

「どうせ聞いてないよね。」

と独り言を言った。


そのときだった。


それまでNo相づち、ダンマリだった夫が


「え!?なに!?」


と返してきた!!!!


恐怖でしかない。


思わずわたしは、

「大声で話しかけてたけど、反応ないから

聞こえてないんだと思ってた。聞いてたの?」


と聞き返してしまった。


すると夫、「なんかブツブツ言ってるから」


とようやくわたしの顔を見て言葉を返してきた。


この人、こんな小声が耳にとどいているなんて!

今までも、わたしが話しかけていたことは聞こえていたんだ。


おそらく、興味のない話は自然と華麗に

聞き流していた。


ということだろうか。


妻のどうでもいい話、相づちをする必要もないってことか。


ちっくしょー!!!(笑)


そういうところだよ。

そういうのの積み重ねで、段々あなたに話しかけることをやめようと思っちまうんだ。


だってそうだろ?

興味がなくても、多少の気遣いってやつで

相づちうって聞くのがコミュニケーションだろ?

それをやめてしまったら、夫婦の会話

ゼ〜ロ〜♪

になるよ。


そりゃ、普段から無口で無表情な君が、

なにかの気まぐれでわたしに何か世間話をしてきても、こっちもスーンってなるよ。


ちっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る