第41話 ノミ現る

我が家には室内飼育の犬がいる。


つい先日、いつものようにお腹を出して寝そべるわんこさんを撫でていた。


するとわんこの下腹付近を小さな黒い何かが

素早く駆け抜けていった。


一瞬目を疑った。

メガネを拭いてかけ直し、ものすごく集中してわんこのお腹を観察してみる。


すると毛のところどころに黒いカスのような

ものが点々とついているではないか。


これはまさか…


わんこをお迎えしてから今日まで、一度も

ついたことのなかったアイツなのか!?


慌ててわんこをハウスに戻し、ネット検索してみる。


するとどのサイトも、そいつは紛れもなく

【ノミ】である可能性が大であることが

わかった。


そんなこと、わかりたくもないし、信じたくもないが。


発見したのは夜。

もちろん動物病院も営業終了時間をとっくに過ぎている。


今までノミがつくことを気にしてなかった

から、慌ててネットで情報を詰め込む。


すると全身ザワザワしてしまい、車に酔ったときのような感覚になった。


アイツらの繁殖力、跳躍力は凄まじい

ということがわかった。


こいつはのんびりしていられない!


とはいえ、我が家のわんこ、過去に神犬(噛む犬)期間があったため、信頼できるトリマーさんに毎月シャンプーを依頼しており、

自分で洗うことはできない。

トリマーさんから、トラウマを植え付けたくないから、飼い主さんはシャンプー、ブラッシングはしなくていいと言われている。

通い続けて2年、トリミング中キレまくるわんこと向き合ってくれ、なんとか最後まで仕上げてくれている。

キレるポイントがあるのだそうだ。

なので余計なことはできない。


仕方がないので一晩そのまま過ごし、

翌日大急ぎで動物病院に駆け込んだ。


お世話になっている先生は、駆除薬の成分を

よく理解しており、ノミ、ダニの薬は通年使い続けることに反対派だ。

とはいえ、飼い主の希望があればその通り処方してくださるそうだ。


ただ、農薬と同じ成分だし、生涯使い続けることで、ノミはつかないかもしれないが、

発がん性のリスクとか、別の病気を誘発する

リスクがあることを理解して使うなら

使う、必要最低限にするならする。

飼い主の考え方次第だとも。


飼い始めてすぐ、先生からノミやダニはついてしまったら投薬するでいいと思うよ。

とおっしゃっていた。


そして慌てて先生に、わんこにノミらしきものがいることを報告。


すぐさま薬を首元に垂らし、つけてくれた。


先生いわく、数日でノミは死ぬ。

しばらくは孵化したノミが新たにつくこともあるかもしれないが、1ヶ月効果があるから、

ついては死んでを繰り返しているうちに

そのうちいなくなるでしょうと。


私は思わず質問した。

このあと掃除とか、どの程度やったらいいのでしょうか!?

気にし過ぎが過ぎるほどの性格だから、

小さな卵が飛散、孵化と聞いただけで

パニックだ。


すると先生は、笑いながらこう言った。

「そんなに神経質になり過ぎる必要はないよ。気休め程度に掃除機を毎日かける程度で大丈夫。

犬には申し訳ないけど、孵化したノミがいたとして、一番最初に狙われるのは動物。

でも宿主の犬には駆除薬がついてるから、

寄生するたびに犬の血を吸って死ぬ。

この繰り返し。

それで気がつきたら、最近見なくなったねって感じになるから。」


とおっしゃった。

私はひとまずこの言葉を信じて、あまり気にし過ぎないように努めることにした。


翌日投薬から約半日が経過し、恐る恐る

わんこのお腹をチェックする。

するとアイツがまた駆け抜ける。


そんなにすぐ効果が出ないことを

理解していても、悲しい気持ちになる。


そして夕方、わんこのハウスを拭き掃除しようと開けてみると、黒い何かが数粒落ちている。


これはもしや!

ネットで調べて得た知識を思い出す。

ノミは絶対に潰してはいけないということを。


死んでいるノミでさえ、メスだった場合、

お腹の卵を潰すことで飛び散る=撒き散らす

ことになるらしいのだ。


慎重にセロテープで優しくタッチ。

ノミにタッチ。


すでにお亡くなりになっているようで、

ピクリとも動かない。


目を凝らし三匹駆除確認。

やはり何匹もいるらしい。

セロテープでしっかり密閉し、ジップロックに入れてゴミ箱へ。


生きている場合、中性洗剤を混ぜた水につけると窒息死して完璧らしい。


この調子で見かけなくなるまでは観察し続けねば。


1週間後のトリミングで綺麗にしてもらい、

1ヶ月後に動物病院の先生に診てもらおう。


長い戦いにならないことを祈る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る