第6話:バレてる。たぶん完全にバレてる。

な・ん・で、バレてんだよおおぉぉぉぉ!!!



今にも叫び出したい気持ちをグッと堪えた。

高2だってことはつい言ってしまったが、他の情報は出してないはずだ。



バレるわけがない!


でもバレてる!!



頭を抱えながら、耳だけは七瀬と有村の会話に集中した。



「それ本当ー?もしそうだったら世間狭すぎるよね。

ちなみになんで同じ高校の同級生だって思ったの?」



「えっとね、同級生だってのは初号機さんが自分から言ってたんだよ。

もう一人の人が大学生やってるって言った後に、つられる様に言ってたからたぶん本当なんだと思う。

言った後に若干ヘコんでるみたいだったし」



(それもバレてたのか……)



あれはまぁしょうがないとしよう、話の流れだったし。

問題は高校が同じとバレたことだ。




「自分で言っといてヘコむってことは、たぶん言うつもりは無かったんだろうね。

同級生ってことはそれでわかったとして、同じ高校ってのは?」



「あーそれは本人が直接言っては無いんだけどね。

うちの購買にすっごい変なあんぱんあるじゃない?あれの話をしようと思ってさ、ゲーム中に


『そういえばうちの学校の購買にすっごく変なパンがあって〜』


って言ったらね、初号機さんだけはその時点で笑ったの。

おかしくない?普通は[こんな風に変なんです]ってとこを言ったときにそれを想像して笑うと思うんだ。


でも初号機さんは[うちの学校の購買の変なパン]ってのが聞いただけで頭に浮かんだから、思わず笑っちゃったんだと思う。


更に[うちの学校の]って聞いてすぐ反応できたってことは、たぶん一緒にゲームしてるのが私だって最初からわかってたみたい」




……名探偵かっ!!??



全体重を机にかけるようにもたれかかった。

たぶんあとちょっとで体が溶けるんじゃないかってぐらいだらーんとしていた。



……まずい。



……非常にまずい。



……びっくりするぐらい全部バレてる。



なんでたったそれだけでそこまで推理できるんだ。

カンと言っていたが、内容は全部合ってる。


確かに[うちの学校の購買の変なパン]と聞いたときに頭に浮かび、思わず笑ってしまった。



くそっ、あのパンが憎い。

今度クレーム入れてやる。



パンへの責任転嫁が終わった後、恐る恐る視線を上げると、



七瀬とバッチリ目が合った。



(あぁやっぱり可愛いな)



思わず笑みが溢れた後、すぐに視線を窓の外に逸らした。



(なんであの会話の後にこっちを見てるんだ!?」)


(もしかして俺だってことまでもうバレてるのか!?)


(え、名探偵七瀬ってそんなすごいの!?)



微笑んだ表情は崩さないまま、ダラダラ冷や汗をかいて頭はグルグル混乱していた。







おかしい。



今日の昼休みまでは、今までに無いくらい幸せな一日だったはずだ。

それがなんで昼休みに全部壊れちゃうんだ。



まずい、バレかけてる。

しかもまずい感じだ。


七瀬だってことを知った上でりさまるをパーティーに招待したことがバレてる。

会話を盗み聞きしていたことまでバレてしまう。



午後の授業中全ての時間を使ってこの状況の打開策を考えていたが、何も浮かばなかった。



降り出した雨を見ながら、気持ちもだんだん落ちていった。



とにかく今日は早く帰ろう。

家に帰ったら何か妙案が浮かぶかもしれない。

未来の俺がどうにかしてくれるはず。



半ばやけになりながら、授業が終わると荷物をまとめ、下駄箱に急いだ。



靴を取り、上履きをしまう。

よし、帰るぞ!という時、



「ねえ?君でしょ?」



聞き慣れた声が聞こえてきた。


その声の方を見ると、あの名探偵がニヤつきながらこちらを見ていた。




「え、なにが?どうしたの?」



ととぼけてみたが無駄だった。




「コルレオーネ初号機ってキミでしょ?さかき 隼人はやとくん?」

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