第38話:いつもと違って面白いらしいよ?
でも、独り言を言っちゃう
あの時も言ってないはずだけど。
もう色々聞いちゃってるし、これも
《ねぇ、俺ゲームしてるとき独り言とか言ってた?
特に有村たちの方を見てるときに》
《いや、別に言ってなかったよ。
普通の会話も少なめだから、もっと話したら良いのにって思うぐらいだったし》
グサッと来る返事が、
俺も本当はもっといっぱい話したいんだよ……。
しかし、独り言を言ってなかったという証言は得られた。
[真剣な表情って、ギャップがあって良いよね]と七瀬が言ったのは、七瀬自身がそう思ったということだろう。
そうか、七瀬も俺と同じことを考えていたんだな。
ニヤニヤが止まらない。
あんなに可愛い子が、俺を見ながらギャップに萌えてたんでしょ?
あぁ、もう想像しただけでヤバい。
あ、しかも今なら写真もあるではないか!
先ほど貰った写真を見つめながら、あの時の七瀬を思い出す。
目が合った瞬間、慌てて画面の方を見ていたよな。
たぶん俺が逆の立場だったら、同じことやってただろう。
ということは、七瀬も俺と同じような気持ちで、俺のこと見つめてたのかなー?
そうだったら嬉しいのに。
◯
次の日の学校は、少しドキドキしていた。
……七瀬の写真を見つめ過ぎたから。
ほんとに見れば見るほど可愛い。
こんな可愛い子を街中で見かけたりしたら、たぶんみんなずっと目で追ってしまうんだろうな。
俺はドキドキしているが、七瀬はどんな感じなんだろうか。
ちょっと楽しみにしてクラスに入ると、いつも通りの雰囲気の七瀬に、いつも通りの挨拶をされた。
なーんだ、いつも通りか。
ちょっと気持ちも落ち着いた。
◯
昼休みになると、動画配信の話になった。
きっかけは七瀬の一言だった。
「
ドキッとした。
最近全然見てない。
前はけっこう再生数気にしてたんだけどな。
「いやー、最近の動画はまだ把握してないんだよね。
なんでそんなこと聞くの?」
俺の問いに対して、七瀬がやや自慢げに話しだした。
「最近の動画は昔のに比べて全体的に再生多いんだけど、その中でも一番は私とミユキと
あー、七瀬がやたらと[カッコいい]って褒めてくれてたときね。
ほとんどがその印象だから、あんまり細かい内容までは覚えてない。
とりあえずその事は言わないでおくか。
「へー、あの時の動画が再生数多いんだ。
なんでだろうね?」
別に正解の返事は求めてなかったが、有村がボソッと答えた。
「ゲーム中の会話が[いつもと違って]面白いって、SNS上で書いてあったよ」
……それは知ってるよ!
だいぶショックだったんだから。
でも二人の会話は確かに面白かった。
女の子同士が話しているってだけで一定の需要はあるが、それを上回っているのは面白かった証拠だろう。
でも悔しい。
俺が何も返事をしないのが気になったのか、七瀬が優しい声で話してきた。
「
私とミユキのおしゃべりは、おまけみたいなものかな」
すごく良いフォローだ。
だいぶ気持ちが楽になった気がする。
七瀬は俺の様子を確認した後、続けて話しだした。
「まぁ何が言いたいかっていうと、また三人でゲーム配信して、動画の再生数をもっと増やしてみない?」
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