第48話:新しいパターンのやつ

え、なにこの新しいパターン。

リアルタイムで気持ちがダダ漏れなっちゃってるじゃん。


あまりの衝撃で逆に冷静になり、状況を分析してしまった。



とりあえず有村スパイに返事をしよう。



《有村に動画あげてもらったけど、もう見たー?的なことしか言ってないよ。

ちなみに騒いでるっていつから?》



せっかくなので、もう少し聞いてみることにした。

なかなか無い経験かもしれないし。



有村スパイからは、やはりすぐに返事が来た。



《なにそれー? めっちゃ普通じゃん。

えーっとね、30分ぐらい前からかなー》



……七瀬ヤツめ、また嘘をついていたな。



お風呂入ってないじゃん。

有村相手に騒いでただけじゃん。



もう一度七瀬からのメッセージを読んでみる。



……なんで文面ではこんなに落ち着いてるの?

この時は有村によれば、テンパりながら騒いでたときなんでしょ?



んー、謎だ。



とりあえず七瀬にも返事をしないと。

有村からメッセージが来ているのは内緒だろうから、あまり時間を置くとまずいはずだ。



《忙しくなかったなら、良かった。

ありがとう、そう言ってくれるとメッセージ送りやすいから助かるよ。

有村にもお礼は伝えたよ。

今回の動画観て、七瀬はゲーム中に視聴者のコメントにいっぱい反応しててすごいなーって、改めて思ったよ》



こんな感じで良いか。

有村スパイからメッセージ来なくても、こんな感じの返事を送っていたはずだ。



七瀬が有村相手に騒いでるのを知って、なんだか気持ちが軽くなった。

そのおかげで、今回は送信ボタンを気軽に押すことができた。



七瀬に返事を送ってから数分後、今度は有村スパイにメッセージを送る。



《ちなみに、七瀬は今も何か言ってたりするの?》



短い文章だが、これくらいで十分だろう。

すぐ送られてきた有村スパイからの返事を確認する。




《言ってるよー。

『今日は隼人はやとくんから返事がいっぱい来て嬉しい』とか、

『なんで今日はいっぱい返事くれるんだろ?』とか、

『話したいことがあり過ぎて、逆に何て返事したらいいかわかんない』とか、

なんかずーーーーっと話してるよ》



……後半の文章に負の感情混じってないか?


うざがってない? 大丈夫?



有村がこんな感じになってるのは珍しい。

今日はよっぽどひどいんだろうな。



そんなことを考えていると、今度は七瀬から返事が来た。



《別にお礼なんか言わなくて良いわよ。

ふふ、私のすごさがわかった?

さかきも私からトークスキル学んだらどう?》



……。





そっけなーーーーい!!


有村スパイからの情報とのギャップがすごーーい!!



思わず叫びそうになった。



他の人がメッセージ送ってるのかと思うぐらい違う。

喜んでる雰囲気なんて、微塵みじんも感じさせないのね。



そもそも、有村スパイからの情報は本当に合っているのか?

でもわざわざ有村スパイの方からメッセージ送って来たんだから、間違ってるわけないよな。



頭が混乱してきた。

とりあえず両方に返事して、まだ様子を見ることにしよう。



まずは七瀬に送るか。



《七瀬が俺にトークスキル教えてくれるの?

どうやって?》



こんな感じかな。

確かに話すのはあまり得意じゃないけど、上手くなって損は無いもんな。



七瀬宛のメッセージを送信した後、有村スパイへの返事を考える。



《なんか大変そうだね。

今回の分もちゃんと何かおごってあげるから》



うん、これにしよう。

物欲で釣るのが一番良いだろう。

情報を貰ってることには変わりないし。



有村スパイにメッセージを送ると、すぐに返事が来る。



《いっぱい買ってもらうから、覚悟しておいてね。

そういえばリサがさっきから、

隼人はやとくんが、罠にかかったよ。

これでいっぱいお話しできる』

って喜んでるけど、何か罠にかかったの?

トラバサミ的なやつ?》




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