第21話:ベタ褒めの真相

あれ?りさまるは何て言った?



[カッコよかった]って言ってなかったか?

なんでいきなりデレてるんだ?



考えている間も二人は嬉しそうに話していた。

ゲームの画面は試合結果リザルト画面に切り替わる。



「よし、この調子でどんどんやっていこうよ」



みゆきちが楽しそうに言った。

すっかりこのゲームにハマったようだ。



ずっと考えている訳にもいかないので、次の試合マッチを始める。





また1位になった。

二人ともさっきより動き方が良くなってきている。



相変わらず弾は上手く当たっていなさそうだが、良い感じにやりあえている。



「良いサポートがいると、思い切り攻められるからいいねー。

アドバイスも的確だし」



みゆきちが、また褒めてくる。



「すごく頼りになるよねー。

キャラの能力の使い方も上手いし。

[このキャラはこんな風に使うんだ]って思うもん。

ほんとカッコいいよねー」



りさまるも、また褒めてくる。



褒めてくるし、今度も[カッコいい]と言った。



……なんで急にデレて来るようになったんだ?

あれか?ゲームやるときだけデレるキャラなのか?


色々考えてみるが、正解は謎のままだ。




その後も数マッチやった。


どの回も終わったタイミングで、りさまるからやたらと褒められる。





夜も遅くなってきたので、その日はゲームを終わることにした。

りさまるが褒めてくる謎は、結局わからないままだ。



「先に動画配信終わるから、ちょっと待っててね」




二人にそう告げた後、いつも通り終了時の台詞を言って配信を切った。



「配信終わったよー。

お疲れさま」



俺がそう話すと、まずは有村が反応した。



「お疲れー。

さかきってやっぱ上手いんだねー。

自分でやってみて、改めて思ったよ。

でも楽しかったー」



満足そうに言っているので、本当に楽しかったようだ。



次に七瀬が話しだした。



「お疲れさまー。

今日は色々キャラと銃を試せたから、良かったわ。

野良でやるとすぐ死んじゃうから、あんまり試せないのよね」



七瀬も満足そうだ。


まだ続けて話している。



「明日にでも今日の動画観ながら、細かい部分を教えてね。

今日は私とミユキでいっぱい褒めてあげたから、気分良かったでしょ?」




……唐突に今回の謎に対する解答が来た。



(そういうことか!!

くそっ、おだてられて良い気分になってしまった)



椅子の背もたれに体重をかけ、天井を見上げた。

言葉も出ない。



不思議には思っていたが、確かに良い気分だった。

途中から七瀬を[ゲーム中だけデレるキャラ]に認定してしまっていた。



あぁ、恥ずかしい。

また手の上で転がされてしまった。



おそらく今頃、小悪魔顔でニヤニヤ笑ってるんだろうな。



「動画を盛り上げてくれてるんだろうなー、って思ってたよ」



七瀬に答えてみたが、



「ほんとかなー?」



と[明らかにニヤニヤしながら言ってます]といった感じの声で返事が来た。




くそ、バレてるじゃん。

今頃可愛い笑い方しているんだろうな。


とりあえず今回は諦めよう。



「とりあえず、今日はここまでね。

また明日学校でね」



俺が慌てて言うと、七瀬は笑いながら[おやすみー]と回線を切った。

続けて[明日よろしくねー]と言いながら有村が回線を切る。



女の子から[おやすみ]って言ってもらえるの、なかなか良いね。



でもまだ寝る前にやる事がある。

有村スパイへの確認だ。



《今日ゲーム始めてから序盤辺りで、七瀬から[俺を褒めるように]って、連絡来た?》




メッセージを送ると、返事がすぐ来た。

このスパイはいつも優秀だ。



《一回目のマッチが終わった辺りで連絡来たよー。

[間違えて本音出ちゃったから、ミユキもさかきのこといっぱい褒めて]

ってよくわからない連絡が。

とりあえずいっぱい褒めるようにしたけど》



え?


本音出ちゃったって、なに?




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