第22話:妄想が止まらない

本音ねー。



一回目のマッチが終わった辺りで連絡が来たなら、本音を言ったのはそれより前になる。

……ちょっと思い出してみよう。



まずは好きなキャラの話をしたな。

そこからは武器とかアイテムを持っているかとか、敵の位置とかを話したな。


その後に雑談してたけど、ほとんど有村と話してたよな。

そして最後に俺のこと褒めてたよな。



最後の奴が一番可能性が高そうだ。

動画を確認してみよう。



この辺かなと思われる位置から再生すると、有村が俺を褒めてる所だった。

この次が七瀬だ。



「ほんとよねー。

リードしてくれるし守ってくれるし、カッコよかったー」



本音ってこれか!!



これをごまかす為に、その後も何回かカッコいいとか言ってたのか。

有村スパイに聞いてなかったら、他の褒め言葉との違いわからないレベルだな。



しかし、良い褒め言葉だな。



リードしてくれる


守ってくれる


カッコいい



声を聞くだけでもニヤニヤしてしまうが、妄想で表情も追加しよう。



どの表情が良いか、これまで見てきた七瀬の表情を思い浮かべていく。



……これだ。



手を握ったままになっているのに気づき、恥ずかしがっていた、あの表情だ。



あの照れた感じの顔を思い出しながら、[本音]の褒め言葉を再び聞いた。



[リードしてくれるし守ってくれるし、カッコよかったー」




……ヤバい。


胸が苦しくなってきた。

おそろしく可愛い。



[普段見せない表情]に、[普段言わない台詞セリフ]をかけ合わせると、こんなに破壊力を持つのか。




想像でここまでの破壊力だ。

実際言われたらどうなるんだろう。


思わず抱きしめてしまうのか。

どうなんだろう、わからないな。



色々と想像していたが、更なるアイデアを閃いた。



表情の変化も楽しもう。



変化の最後に[照れた表情プラスあの褒め言葉]を持ってくるのは固定しよう。

その前にどんなシーンを入れて、表情の変化を楽しむかだ。



色々考えたが、やっぱりこれだ。

小悪魔ニヤニヤ顔からの変化だ。



流れを決め、七瀬の表情を思い出しながら妄想を進める。



放課後、まだ周りには人がいっぱいいる。



小悪魔のようにニヤニヤ笑いながら、七瀬が話しかけてくる。

ニヤニヤ笑いながら俺の反応を楽しんでいるようだ。



ゲームカフェに行くため、一緒に教室を出る。



途中で人が少ないエリアを通る。



突然七瀬が俺の右手の袖口を掴み、引き止める。



振り返ると、そこには顔を赤く染め恥ずかしそうにしている七瀬がいる。



そして、あの台詞セリフ。



[リードしてくれるし守ってくれるし、カッコよかった」





……ヤバすぎる。


さっきの比じゃない。



人生をかけてこの娘を守っていこう。



妄想の話なのに、そう決意させるほど可愛い。

可愛すぎて尊い。




でもこれ以上妄想すると、身がもたなそうだ。

ほどほどにしておかないと。




時間も遅いので、寝ようと布団に入った。

しかし、ドキドキは止まる気配が無い。



はたして明日は七瀬のこと直視できるのだろうか……。


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