第30話:どんな服装が好きなの?

え、なにこれ?


もし俺が[邪魔かなー]とか答えたら、有村は来ないのか?


そうすれば七瀬と二人きり。

今度こそ初デートだ。



……いや、無理だ。



何も知らないあの時だったら、まだ楽しめたかもしれない。

だけど今は有村スパイを通じて、七瀬の内面を密かに知っている。


二人きりという状態に、俺が耐えきれるわけがない。


緊張と照れと妄想で、大失敗する未来しか見えない。

全力を尽くして有村を同席させないと。



《邪魔なわけないじゃん。

せっかく有村もやり始めたんだから、三人でやった方が絶対に楽しいと思うよ。

有村にも色々アドバイスしてあげたいし》



よし、こんな感じでどうだ。

あくまで[ゲームを一緒に楽しみたいから]という雰囲気が出せてるはずだ。



まぁ書いた内容は本心でもあるから、大丈夫だろう。

仲良い三人でゲームがやれるのは、本当に楽しい。



今回はなかなか返事こないなーと焦りだした頃、有村からの返事が来た。



《じゃあ私も参加するねー。

リサにもそう言っておいたから》



七瀬と連絡を取っていたから、今回の返事は遅かったのか。


とりあえず有村も参加になって良かった。

俺の未来には、まだ希望が残っていそうだ。



《よかったー。

当日は何時からがいいか、七瀬とも話しといてね》



俺が返事を送ると、今度はすぐに有村からのメッセージが届いた。



《はーい。

ちなみにリサから当日の服装の相談受けてるんだけどさ、さかきはどんな服装が好きなの?》



……なんですと?



この言い方の感じ、もしかして俺の好きな服装で来てくれるパターンなのか?

このパターンは正直考えていなかった。


そもそも俺はどんな服装が好きなんだろうか。

パッと思いつかないので、七瀬を思い浮かべながら考えてみた。



……全部可愛いじゃん。


回答に困るから、とりあえず有村から情報を貰うか。



《どんなって、ちょっと難しいなー。

ちなみに七瀬って、普段はどんな服装なの?》



俺の質問に対し、やはり回答はすぐに来た。



《普通だよー、派手な感じでもないし。

パンツスタイルよりはスカート履いてる方が多いかなー」



そうか、スカートスタイルか。

じゃあ制服をベースに考えていけば良さそうだ。


七瀬の普段の制服姿を思いだすと、着崩さずしっかり着ている。



ここからどう変えるか。

あんまり変化をつけすぎても、着てもらえない可能性が増える。


考えていてもひらめかないので、ネットで画像検索をしていると、ちょうど良さそうな服装の画像を見つけた。



《こんな感じの服とか最近好きだよー》



その画像をメッセージに添付し、有村に送る。



《こんな感じかー。

リサがこんな感じの服着てるの見たことないけど、一応言ってみとくね》



まずい、やっぱり普段はこの感じの服は着てないのか。



まぁどんな服装で来ても、可愛いから問題はないんだけど。





日曜日の朝は、普段よりも早く起きてしまった。

まずい、なんか緊張する……。



とりあえず遅刻はまずいので、だいぶ余裕を持って家を出た。



待ち合わせ場所であるゲームカフェの前に着いたが、移動途中特にトラブルもなかったので、早めに到着してしまった。


またここで待つパターンか。



前回と同じように妄想しながら待っていると、二人はおしゃべりしながら一緒に現れた。



俺は自分の目を疑った。



……七瀬の服装に見覚えがある。


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