第51話:大収穫じゃないか

七瀬と有村が話しているのを眺めていたが、どうやら本格的にランクマッチをやっていくようだ。


七瀬がSNSをやっているのは知っている。

それきっかけでバレたんだし。


有村はやっているんだろうか?

まぁ、やっていなくても、有村ならすぐに使いこなしそうだけど。



二人の会話を聞いている中で、いくつか疑問が湧いた。



「二人がランクマッチやってる間は、俺はどうしてたらいい?

普通に別で一人でゲームしてても良いの?」



俺の質問に対して、七瀬が反応した。



「アドバイスとか欲しいから、できれば観てて欲しいんだけどなー。

途中でランク上がりにくくなったら、さかきと一緒にやるのも、だいぶ先になっちゃうし」



[一緒にやりたい]という気持ちが前面に出てて、嬉しい台詞だ。

しょうがない、言われた通りにやるか。



「じゃあ二人がランクマッチやってるときは、俺は二人のプレイをチェックするね。

二人ともそれぞれサイトで配信してくれると、同時に観れるからやりやすいかな。

でもその場合、俺はコメントでアドバイスしないといけなさそうだね。

パーティの音声聞くと、動画の映像とのラグがひどそうだし」



俺の提案に、二人とも同意してくれた。

そのまま別の質問を尋ねてみる。



「ランクマッチをやる日は、普通の試合マッチもやる?

それとも、ランクマッチの日と普通の試合マッチの日と分けてやる?」



質問に対して七瀬がまず反応したが、何かを言いかけたまま固まってしまった。


有村はそれを不思議そうに見ていたが、七瀬が何も言わないままなので、仕方無しに口を開いた。



「ランクマッチも普通の試合マッチも、どっちもやる方がいいかなー。

順番はどっちからやっても、別に構わないけどさー。

さかきとやらない日が増えると、連携が下手になってきそうだしねー」



確かに人によってプレイスタイルがけっこう違うから、連携を強化するならあまり間を置かない方が良さそうだ。


せっかく良いこと言ってるんだから、そんなにダルそうに話すのはやめて欲しい。



七瀬がまだ喋しゃべらないのでチラッと見てみると、なぜか少し驚いた後、いつものように話し始めた。



「そうね、ミユキの言うようにどっちもやるようにしましょう。

さかきもずっと私達のプレイを観ているだけじゃ、つまらないだろうし」



お気遣いありがとう。

でも、さっき固まった理由が気になって仕方ないんだよ。



んー、なんとなく聞いちゃダメそうな雰囲気だ。

一旦諦めるか。


後で有村スパイから教えてもらうことにしよう。





その日の夜は、まずはランクマッチからやるらしい。

あの二人の実力なら、最初のランク帯はまず大丈夫だろう。



七瀬のSNSを見ると、募集の書き込みをしていた。

あと一人を誰にするか、まだ決まってないようだ。

始めるまでは少し時間がかかるだろう。



その間に日課をやっておこう。



《ランクマッチ頑張ってねー。

今日は何か情報ありますか?》



七瀬が固まった理由が聞けるといいな。

予想がつかないから、モヤモヤしたままだ。



有村スパイからの返事はすぐに来た。



《なんか昼休みにリサが変だったときあったじゃん?

理由聞いたら、

隼人はやとくんとゲームやれない日があるなんて嫌! って反射的に言いかけて、恥ずかしくなって固まっちゃった』

って言ってたんだけどさー。

さかきの名前が出たのはそれだけだったから、今日は収穫無いよ》



何をおっしゃいます、大収穫じゃないか。




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