第50話:ランクマッチに手を出してみます

《せっかくミユキと三人でゲームしているんだから、ミユキも入れて三人で話しましょうか》



七瀬から送られてきたメッセージは、

有村スパイから貰った情報そのままの内容だった。


おそらく七瀬の説得に、有村が折れたんだろう。

けっこう嫌そうだったのに、優しいやつだ。


というか、三人で話すんだったら、昼休みの会話とほとんど変わらないよな。

いつもゲーム関連のことばっかり話しているけど。



そこには触れずに、無難な返事をしておくか。



《うん、それも良いね。

有村にもよろしくって言っておくね。

でもメインは七瀬だろうから、改めてよろしくね》



メッセージを送り終わり、その日は寝床に入った。



……結局七瀬が嫌な思いをしていなかったかは聞けなかったな。





次の日の昼休み、いつも通り三人集まって、いつも通り七瀬から話し始めた。


「昨日の動画をさっき確認してみたんだけど、けっこう再生数伸びてたわよ。

さっすがミユキの編集ね。

登録者数もけっこう増えてるんじゃない?」



七瀬の言葉に促うながされて、サイトを確認してみる。


確かにちょっと増えてる気がする。

あんまり確認してなかったから、はっきりとした数はわからないけど。



「あれ以外にも、サイトにあげられる状態の動画いくつかあるよー。

どうする? あげちゃう?」



有村がサラッとすごいことを言った。


えっ、昨日一つあげたばっかりじゃん。

しかもあのクオリティの高さで。


それがいくつかストックできてるの?

仕事早すぎでしょ!?



そもそも昨日って最初の動画をあげた後は、七瀬の相手をしてたんじゃなかったっけ?

いつのまに作ったんだろうか。


驚いて声も出ない俺とは対照的に、七瀬は嬉しそうに有村の問いに答えていた。



「ミユキすごーーい!

さすが頼りになるわ。

せっかく作ったんだから、ちょっと時間おきながら動画はあげちゃいましょうよ。

さかきもそれでいいわよね?」



俺がOKを出すと、有村は頷うなずいた後、話しだした。



「じゃあ、適当に時間おきながらサイトにあげておくね。

私が全部やってあげるから、さかきは心配しなくていいよ。


ところでさ、最近ランクマッチの方も興味出てきたんだよね。

さかきは一緒にはやれないって、前に言ってたよね?」



有村がこちらを見るのとほぼ同じタイミングで、七瀬もこちらを見てきた。

七瀬もランクマッチに興味があったたんだろう。



「うん、やれない。

前は[やれるけど、周り強い人だらけだよ]って言ったけど、それ間違いだったみたい。

ランクが離れ過ぎてたら、そもそも一緒にできないらしいんだよね。

俺がサブアカ作れば一緒にやれるけど、モラル的にダメだよね」



俺の説明に二人は納得してくれたようだが、有村が更に尋ねてきた。



「じゃあさかきと一緒にランクマッチをやるなら、まずは私達のランクを上げなきゃいけないわけね。

あんまりシステム知らないんだけど、どうやったらランクが上がるの?」



やってれば勝手に上がる


そう答えたかったが、怒られそうだからやめておこう。



「試合マッチごとに、キル数や順位に応じてポイントが貰えるから、それを一定以上にするとランクが上がるよ。

順位のポイントもけっこう大きいから、いつものやつと違って、最後まで生き残ることが重要になってくるかな」



俺が話し終わると、二人ともちょっと悩んだ表情で打ち合わせを始めた。



「早く上にあがりたいよね」


「そうだよね。

てことは、毎回上位を狙ってかなきゃいけないわね」


「でもこの二人でやるなら、一人は野良になっちゃうよね。

連携上手い野良さんなら良いけど、ボイスチャットが無い時点で不利だよね」


「そうなんだよねー。

私達もさかきみたいに、SNSで一緒にやる人を見つけてみる?」


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