第5話:なんで高校バレたの!?
(まずい、[コルレオーネ初号機]が[
……まぁ、大丈夫か。
高2でこのゲームやってる人とかいっぱいいるしな。
動揺して操作が乱れてしまったが、気づかれては無いだろう。
「そうなんですねー。まさか、りさまるさんと同じ年だとは思いませんでしたよ」
危なげない返事をしておいた。
その後も麦わらさんの協力もあって敵チームをどんどん倒していった。
……りさまるはアイテム回収係みたいになっていたが、まぁしょうがない。
俺が体力を削った敵を何人かキルできたみたいだし、本人も楽しそうにしてるから問題無いだろう。
円もだいぶ小さくなり、残りは3チームになった。
「残り3チームになったんで、念のため他チームに見つからないようにしてくださいね」
俺がそう呼びかけると
「はい」
と麦わらさんは返事をしたが、りさまるは意味がわからなかったらしい。
「え、なんでですかー?」
と質問してきた。
「残り3チームになったときに他の1チームと交戦になると、倒して残り2チームになった瞬間に最後の敵チームが突撃してくるんですよ。
直前の交戦でこちら側の体力が減っていても回復する時間が無いんで、不利な状態で戦うことになっちゃうんですよ」
俺がそう答えると、りさまるは納得したらしい。
「なるほどー、じゃあ私達は残り2チームになった瞬間に突撃して行けばいいんですね」
ちゃんと発言の意図まで読みとった回答をりさまるがしてくれた。
(……でもそれを知らないってことは、りさまるは残り3チームまで残ったことなさそうだな)
そう考えていると少し離れた位置から銃声が聞こえてきた。
残り2チームが戦い始めたようだ。
銃声の音を聞きながら相手チームの居場所を正確に把握していく。
それと同時に残りチーム数を確認していると、残りが[2]に変わった。
「じゃあ突撃しますねー」
そう言いながら先ほど把握した場所に向かう。
こちらが有利になる位置取りを意識しながら移動し、目標地点に到着すると予想通り敵チームの一人がいた。
「はい、こっちに1人いたよー」
そう言いながら敵を倒す。
どうやら直前の戦闘でかなり体力を削られていたらしく、数発当てただけで倒せた。
「残りがまだいるから気をつけてねー」
敵を倒してもゲームが終わらなかったのでまだ残りがいる。
そのため注意を促していると、りさまるの悲鳴が聞こえた。
「ちょっ、ちょっ、待ってぇぇぇ。撃たれてまーす、助けてぇぇぇ!」
銃声がする方に行くと、りさまるが障害物の陰に回りながら逃げまどっていた。
俺とほぼ同時に麦わらさんも到着し、二人で敵を撃つ。
短いが激しい銃声が鳴り、次の瞬間ゲーム画面に1位になったことを表す文字が現れた。
「やったあぁぁ!1位ですよ、1位!
私初めて1位になりました!」
誰よりも先にりさまるが反応した。
俺はもう見慣れた画面だったが、りさまるは初めてだったのか。
「やりましたねー。いやぁ今回はかなりスムーズ勝てましたねー」
次に麦わらさんが反応した。
反応からすると、何回も1位になったことはあるんだろう。
「初めてだったんですねー。それは良かった」
俺がそう言っているとゲーム画面がリザルト画面に切り替わった。
ここでもまた、りさまるが先に反応した。
「やったー、私4キルもできてるー。
今までで最高です!」
「えぇ!?初号機さん2000ダメージ超えてるじゃないですか!?
そんなに敵倒してたんですね!」
喜んだと思ったら、すぐに驚きに変わった。
きっと表情も声と同じでコロコロ変わってるのかなと思うと、微笑ましく思えた。
「実は移動しながら一人で色々倒してましたからね。
1マッチ終わりましたけど、まだやりますよね?」
俺が質問をすると、
「もちろん!」
楽しそうな声が返ってきた。
◯
次の日は朝からずっと七瀬を眺めていた。
(昨日はあの子と一緒にゲームやったんだよなー。しかしやっぱり可愛いなー)
昨日話した内容が次々と思い浮かび、自然と笑みがこぼれた。
待ちかねた昼休みの時間には、いつもより楽しそうに七瀬と有村が話していた。
「ミユキ聞いてよー、昨日[初号機]さんと一緒にゲームやったんだー」
「おっ、まじ!?やりたいって言ってたもんね?
どうだったのー?」
「もうすっっっごく楽しかった!私初めて1位にもなれたんだよー。しかも何回も!
一緒にやったもう一人の人も上手だったんだけど、やっぱり[初号機]さんがめちゃくちゃ上手でさー。
私が敵から撃たれていたらササっと現れて、バババーッて敵を倒しちゃうんだよ!」
「1位なれたんだー。良かったね」
楽しそうに語る七瀬を見てると、俺も嬉しくなった。
今日は持ち上げられたままで、落とされることは無いだろうな。
なにせ昨日はあれだけ良い感じだったんだ。
変なミスもしていないし大丈夫だろう。
褒められたし、今日は一日良い気分で過ごせそうだ。
幸せな気分で七瀬と有村の会話を聞いていた。
「あとね、これは私のカンなんだけど、[初号機]さんはこの高校の同級生の誰かだと思うんだ!」
……そう七瀬が言うまでは。
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