第2話:SNSのアカウントは見つけられた
家に帰ってご飯を食べた後は、いつも通りゲームの時間だ。
今日も配信の準備を始めていると学校での出来事を思い出した。
(今日も七瀬が観てるかもしれないんだよなー)
そう思うと顔がにやけてきた。
ーーーでもゲーム中の喋りはあんまり面白くないんだけどね。
思い出したくないことまで思いだしてしまった。
ちょっと、いやだいぶへこんだ。
でも良い機会だ。ちょっと喋る内容を変えてみよう。
視聴者にもっと楽しんでもらいたい。
というよりは七瀬にもっと楽しんでもらいたい。
そう考えるとその日は頑張れた。
いきなり上手くは喋れずたどたどしくはあったが、いつもよりは良くなったと思う。
……たぶん。
◯
次の日の昼休みも七瀬と有村が話していたので、つい聞き耳を立てていた。
「リサー、昨日あの動画観たよー。なんだっけ?[なんとかかんとか初号機]って人。
なんか聞いてたのと違くなかった?リサは昨日の動画観た?」
(お、違いに気づいてくれたんだ)
危ない、にやけるとこだった。
バレてはいけない。
平常心だ、平常心。
(いやー、でも昨日は頑張ったもんなー俺)
そう思うと我慢できなくなってきた。
不自然じゃない程度に手のひらで顔を隠すことにしよう。
(頑張ったのが認められるのって良いものだなー)
七瀬の返事を聞いて悦に浸る準備は万全だった。
「お、ミユキも観てくれたんだー。私も観たよー。
ほんと昨日のは変だったねー、なんかいつもより口数が多かったよね。
相変わらず話してる内容は全然面白くなかったけど(笑)」
(……最悪だ)
思わず机に突っ伏してしまった。
(相変わらず面白くないってなんだよー、俺頑張ったんだぞー!)
二人に言ってやりたかったが、俺が[コルレオーネ初号機]だとバレるわけにもいかない。
……バレたら色々めんどくさいことになりそうだし。
何もできないから、そのままいじけておこう。
「でもいつもより喋っててもゲームの方は相変わらず凄かったよね!どんどんキル取ってたし、何回も一位になってたもん!上手いなーって観ながら何回も言っちゃったもん」
(わー、七瀬が褒めてくれてるなー。
でも前のダメージが残ってるからなんだかそんなにテンションは上がらないなー)
いじけたままでボンヤリと考えていると、
「しかも昨日その人のSNSも見つけたんだよねー!」
と七瀬が嬉しそうに言ってるのが聞こえてきた。
(え、ちょっ、まじ!?)
急にテンションが上がった俺はスマホを取り出し、SNSを確認した。
(どれだ?どれが七瀬だ?)
(……全然わからん)
探してみたがそれらしきアカウントが見当たらない。
まぁいいや、帰ってからゆっくり探してみることにしよう。
会話の最後に七瀬がボソッと言ったことの方が大事だ。
「SNSの人とパーティー作って一緒にやってくれたらいいのになー。初号機さんいっつもソロでやってるもん」
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