第53話:やっと気づいた

配信中の画面を観ると、次の試合マッチが始まっていた。


でも、さっきのメッセージのせいで全然集中できない。



俺は別に不機嫌になってないよな?

メッセージも普通に返事したし。


しかも、それがヤキモチいてるって言われてもなー。

よくわかんないよ。



考えてもなかなか納得はできないが、

配信している三人はさっきよりも楽しそうに見えた。



さっきの試合マッチがギリギリ負けて惜しかった分、今回は一位を取ろうとはりきっている。



りさまるもみゆきちも、いつもより慎重に動いているのがわかる。

三人の会話だけ聞いていると、おしゃべりのついでにゲームをしているようにしか聞こえないけど。



二人の装備や武器を確認する。

装備はまあまあだが、武器は二人ともそれぞれ得意な武器を確保できている。



勝ったな。



白髪の老人気分で独り言を言った。

あとは、いつもその横に座っている司令の気分で配信を眺めていよう。



しばらくすると、最後の敵チームも無難に倒し、りさまる達が一位になっていた。



コメントでも送るか。



【一位おめでとー。

今回は危なげなく勝てたね】



りさまるの方がコメントに気づき、[そうでしょー、上手かったでしょー]と喜んでいた。



よし、コメントも普通に送れたし、全然不機嫌になんかなってない。

ヤキモチも全然妬いてない。



七瀬は何を勘違いしていたんだろうか。



ヤキモチなんかくわけないじゃん。

全然いつも通りだよ。



画面を見ると、次の試合マッチも早速始めるようだ。

今度はもっとコメント打とうかな。



余裕あるし。



[何てコメントしようかなー]と考えていると、三人は年齢の話になっていた。



どうやらハラマキさんは大学生らしい。

やっぱりこのゲームは、高校生とか大学生でやっている人が多いみたいだな。



ぼんやり思いながら三人の話を聞いていると、[敬語はやめてタメ口で話そう]ということになったらしい。



「そういえばりさまるちゃん達は、このゲーム始めてどれくらいなの?」



ハラマキさんが話した瞬間、



なぜかイラっとした。



一瞬だったが、強烈な苛立いらだちを確かに感じた。



あれ、なんでだろ?

さっきまでは普通に観てたはずなのに。



「私より、りさまるの方が始めるのちょっと早かったけど、二人ともやり始めたばかりだよー」



俺が理由を考えていると、みゆきちがハラマキさんの質問に答えていた。



「そんなんだねー。

始めたばかりにしては、二人とも上手いよねー」



ハラマキさんが二人に向けて言っている。


うーん、やっぱりイラっとはしないなー。

なんだったんだろうか。



しかし、その後も理由を考えながら配信を観ていると、やはりイラッとするときが何度もあった。



ハラマキさんが[りさまるちゃん]と言っているとき。


ハラマキさんが言ったことに対して、りさまるが楽しそうに笑っているとき。


主にその二つだ。



うん、さすがにもうわかったよ。



嫉妬しっとしてるね、俺。


七瀬の言う通りだ、ヤキモチいてるね。



[七瀬が他の人と仲良くしている]のを見て、ヤキモチいてる。



これでもう一つの疑問も解決した。





俺、七瀬のこと好きになってる。




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恋の天使は弓矢を銃に持ち替えた ツノシマノボル @Tsunoshima_Noboru

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