第27話:二日連続で強い情報来るとは予想していない
妄想しながらジタバタ
体調不良と嘘をついたことへの後ろめたさ。
その両方が一気に湧き上がり、複雑な感情になっていた。
やっぱり可愛い。
心配してくれて嬉しい。
申し訳なさそうな表情も新鮮だ。
嘘ついてごめん。
いろんな言葉が浮かんできたが、
「全然大丈夫だよ」
その一言しか言えなかった。
……だって、ボロが出るのが怖いから。
考えろ、とにかく考えるんだ。
追求が来るのは昼休みだ。
それまでに完璧なストーリーを組み上げれば、何も問題無い。
◯
運命の昼休み。
ストーリーは全く組み上がりませんでした……。
こうなったら、俺のアドリブ能力を信じるしかない。
心に決めていると、七瀬が心配そうな顔で話しかけてきた。
「朝は[大丈夫]って言ってたけど、本当に大丈夫なの?」
昨日見た天使は、今日は聖母だった。
小悪魔になったり、天使になったり、聖母になったり、忙しい人だ。
全部可愛いです。
「心配してくれてありがとう。
全然大丈夫だよ。
早めにゲーム終わって、ゆっくり寝てたら体調も戻ったよ」
まだ全快ではないけど、どうにか大丈夫です。
そんな雰囲気を出しながら、七瀬の問いに答えた。
でも後半は嘘だ。
あんな状態で寝れるわけがない。
妄想しては
寝不足でリアルに疲れているのが良かったのか、七瀬が疑っている様子は無い。
心配そうな顔のままこちらを見つめ、話しだした。
「無理しちゃダメだからね。
動画観れないのは残念だけど、
あぁ、そんな心配そうな顔で見つめないでくれ。
甘えたくなるから。
というか若干本音が漏れ出してるじゃん。
そういえば、今日は有村が全然話さない。
不思議に思いチラッと見ると、こちらをボーッと見つめていた。
どうしたんだろう。
有村の方こそ体調が悪いんだろうか。
尋ねるのも変だし、聞きはしなかったが、気にはなった。
その後も七瀬から[体調を良くする方法]を色々と伝授された。
[物知りだなー]と感心しつつ、その優しさが嬉しい。
その日の昼休みはゲームの話は少なめで、なんだか不思議な感じだった。
◯
家に帰り、普段ならゲームを始めるぐらいの時間になった。
あまり七瀬を心配させるのも良くないので、普段通りのプレイをして安心させるか。
または、ゲームはやらず、しっかり休んでますよアピールをするか。
どちらで行くかを迷っていた。
そんな時、有村からメッセージが来た。
こちらから情報を貰いに行ってないのに、メッセージが来るとは珍しい。
何事かと思い、確認した。
《昨日って、本当に体調不良だったの?》
まさかの質問が飛んできた。
……え、なに、バレてんの?
どうして?
唐突すぎて焦ってきた。
でも確証は無いはずだ。
とりあえず一旦返事をしよう。
《そうだよー。
嘘つく必要ないじゃん。
なんでそう思ったの?》
これで何か情報が得られるはずだ。
ソワソワしながら返事を待つと、すぐにスマホが鳴った。
《いや、なんとなくだよー。
ゆっくり寝たって割には、寝不足に見えたからさ》
……バレてる。
昼休みにはボーッとしてるように見えたが、俺の様子を確認していたのか。
普段はアホな娘なのに、たまにトリッキーなことをやってくるな。
とりあえず一旦ごまかそう。
《あの場ではそう言ったけど、実際は早めに布団に入っただけで、なかなか寝つけなかったんだよね。
心配させると思って言えなかった》
これで大丈夫なはず。
後は[そうだったんだね]的な返事を待つだけだ。
また有村からの返事はすぐに来た。
《そうだったんだね。
『
看病しに行った方がいいかな?』
ってリサがかなり心配してたから、ナイス判断だったね》
……強い情報が、二日連続で来るとは予想してなかった。
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