第46話:有名配信者の動画みたいなクオリティ
昼間はいつも通りで全然わかんなかったけど、やっぱり絶対好かれてる。
[私だけで十分]ってことは、[私は
ほんと可愛いこと言ってくるね。
……俺に直接じゃないけど。
直接言ってよー!!
言ってるときにどんな表情なのかも、
普段隠すの上手すぎだよー。
他の人からしたら
メッセージ後半の[シュンとした表情が可愛すぎる]って、俺が[初号機派もいて欲しいって思った]って言ったときのことだよな、たぶん。
七瀬がそれまでの小悪魔表情からちょっと変わったとは思った。
だけど、[可愛すぎる]って思われているとは想像もつかなかった。
カッコいいって言ったり、可愛いって言ったり、七瀬の中で俺はどんな存在なんだろうか。
俺の中の七瀬は、[可愛い]がメーター振り切れちゃってるけど。
◯
次の日の昼休み、有村に動画のことを尋ねてみた。
「動画を分割するやつはどう?
出来そうな感じ?」
七瀬も興味津々な様子で有村を見つめると、普段と変わらないトーンで話しだした。
「え、分割だけならもうやったよ?
今は動画のサムネイル作ったりとか、観やすくするためにちょっと編集してるところだよ」
すごいことをサラッと答えてきた。
俺があれだけ頑張ってもできなかったのに……。
七瀬も驚いた様子で有村を褒め称えている。
「すごーい、さっすがミユキね。
じゃあ動画ができたら
七瀬の質問に、先ほどまでと変わらないトーンで有村が答えた。
「昨日色々調べてみたんだけど、
どうする? 私がやってあげようか?」
最近有村の有能具合がヤバくないか?
なんで色々できちゃうの?
疑問には思いつつも、土下座する勢いで管理者をお願いした。
ついでになぜそこまでやってくれるのか有村に尋ねると、考える素ぶりも無く即答してきた。
「えー、なんとなとく楽しそうだと思ったからだよー。
動画配信流行ってるけど、私には配信するネタが無いから、普段ならやれない経験だし。
こんな機会じゃないど、動画編集する機会なんて無いだろうし」
そういえば、このゲームを始めるときもそうだったな。
[なんだか楽しそう]と思った後の、有村の行動力とスピード感はすごい。
◯
その日の夜に、有村からメッセージが来た。
《とりあえず一試合目の動画をあげてみたから、確認してみてねー》
仕事が早すぎる。
驚きながらも確認してみると、更に驚きだった。
4000ダメover
無双
という文字がゲーム画面の上に貼られているサムネイル。
今まで動画と比べると、段違いに観てみたくなるクオリティだった。
動画を観てみると、キャラクター表示の横に[りさまる][みゆきち]と記載されている。
観ている人が、[誰がどのキャラを使っているか]がわかるようにする為だろう。
これが[とりあえず]で有村が出してくるクオリティなのか。
……有村、恐ろしい子。
とりあえず最大限の感謝を伝えないと。
あと、日課の確認をやらなきゃ。
《動画観たよ、めちゃくちゃすごかった!!
有名配信者の動画みたいだったよ。
ありがとう、有村ほんとすごいね。
ちなみに今日は何か言ってましたか?》
俺が尋ねると、いつも通り返事はすぐに返ってくる。
《どういたしまして。
んー、いつもみたいな感じのことは言ってなかったけど、
『
的なこと言ってたよ。
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